南城市に緑の守礼門―。市佐敷冨祖崎にある住宅の敷地に、2本のガジュマルでできた「守礼門」が立っている。ガジュマルを「守礼門」の形に手掛けたのは稲福農富さん(90)。海邦国体のあった1987年に2本のガジュマルを植樹して、15年かけて育て、剪定(せんてい)し「守礼門」を形作った。きっかけは海邦国体で宮城県矢本町(現東松島市)の少年軟式野球チームが冨祖崎区に民泊したこと。稲福さん宅にも選手や関係者らが宿泊して、記念に2本のガジュマルを植樹したという。
稲福さんの長女・島津明美さん(65)は「父は当初から沖縄のシンボルである守礼門をガジュマルで作ろうと考えて、庭に植えた」と語る。
稲福さんは、昨年12月に体調不良で療養生活に入ったが、それまでは毎日欠かさず花木の世話や樹木の剪定をしてきたという。「いつも丁寧に庭の手入れをしていた。だから今も2本のガジュマルは、きれいな姿で守礼門の形をしている」と明美さんは目を輝かせた。
「守礼門」は地域住民からも評判だ。冨祖崎の玉寄勉区長は「守礼門は区のシンボルのようなもの。本当に立派だ」と感動する。稲福さんは区の行事や清掃作業、老人会などにも積極的に参加してきたという。玉寄区長は「背筋も伸びて、顔も二枚目。優しいから区の人気者だ。また元気な顔を見せてほしい」と期待した。
(金城実倫)