観光が回復してもレンタカーの増車は困難に…業界の現状は?白石武博会長インタビュー


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 新型コロナウイルスの影響が長期化して観光需要が戻らない中、レンタカーは大幅に台数が減車している。県レンタカー協会の白石武博会長に現状や見通しを聞いた。

業界の現状について話す県レンタカー協会の白石武博会長=4月28日、那覇市西

Q.業界の現状は。

 「廃業なのか休業なのか分からない事業者も多い。個人客が増える大型連休、夏休み、年末年始に合わせて数ヶ月前から増車の準備をするが、直近になって観光にブレーキがかけられて予約が吹っ飛ぶ。これを1年間続けてきた」

 「各社とも、減車やヤードの売却で経費を節減している。観光客が戻ってきた時に増車したくても、ヤードを売却していると車を置く場所がないため増車できない。土地は簡単に買い戻せない。減車によって沖縄旅行が成立しなくなる」

Q.コロナ対策や経済支援について。

 「県はコロナ対策で総額1600億円以上の補正予算を計上しているが、そのうち観光への支援は需要喚起策の10億円程度。観光立県の施策として脆弱すぎる。北海道は観光以外の産業もある中で、観光支援策に65億円を投じている。沖縄の観光収入は年間約7千億円で、コロナで5千億円が消失している。単に事業者が苦しいからというだけでなく、沖縄観光全体の受け入れ体制を守るためにも、事業規模に応じた支援が必要だ」

Q.今年の夏の見通しは。
 「夏場の新車の導入は、4月中旬ごろがラストタイミングだった。今年も需要が回復するか分からない中で、増車に費用をかけるリスクを取れない。例年より3~4割、車が少ない状態で観光客を受け入れることになる。夏場にレンタカーが足りなくなると言われている」

 (聞き手・中村優希)