危険な訓練が移ってきた経緯「米軍の本音が分かる」 報告書公開の我部政明氏


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米空軍第313航空師団に関する資料を公表した我部政明琉球大名誉教授=12日、那覇市

 ジェット戦闘機の訓練が政治的な事情で伊江島へ移ってきた経緯が分かる。本土でできないことも米軍占領下の沖縄でならできるという意識だ。海兵隊が県外から移駐してきた経緯と共通する。もし沖縄の存在がなければ、無理にでも日本本土に置いていたはずだ。沖縄に移せると考えることで、本土で摩擦が生じる前に撤退する対応を取ってきた。

 沖縄の中でも伊江島を選定した理由として、沖縄本島に飛行場が多くあって空域が混在していたことが指摘されている。これだけ小さい島に飛行場がいかに多かったかが分かる。米軍にとって都合のいい場所にある沖縄を「巨大で沈まない航空母艦」と捉えていた。

 今回公表した資料は米軍内部の報告書だ。米軍の本音が書かれている。軍の中でわれわれがどう見られていたかを垣間見ることができる。相手の考え方を知った上で、どう対処するかを判断していかなければならない。

 米軍がフェンスの内側でどんなことをしているのか、県民をどう見ているのかを知る材料となる。世界中の誰もが見たいと思った時に読める状態にしておくことが大事だ。今後もデータベースを更新し、沖縄に関わる日米の資料を追加していきたい。