「もっこり山」でごめんなさい 吉田健一(那覇・南部班)


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written by 吉田健一(那覇・南部班)

 10年ぶりに市町村を担当する地方部に配属された。直近の4年間は政治記者として主に選挙や政局取材に追われ、その前の3年間は経済記者として金融の世界にどっぷり漬かった。振り返ると小難しい取材に難解な記事ばかり量産し続けてきたと思う。なので今、ワクワクが止まらない。地方部記者は市町村行政の取材はもとより地域のまちぐゎーから軒先に咲いた花など多種多様だ。

浦添市内で最も高い場所となっているワカリジー(為朝岩)。標高は約148メートル

 先日、取材の合間に担当を仰せつかった浦添市で、最も標高の高い場所を訪れた。浦添城跡の東端にそびえ立つ岩「ワカリジー」である。「為朝岩」とも呼ばれ、古くから前田区民の信仰の場となっているほか、沖縄戦では米軍がニードルロック(針のような岩)と名付けたとされる。

 と、ここまでワカリジーを昔から知ってる風で説明したが、訪れたのは初めてだった。ワカリジーをはさんだ浦添の「にしばるぐゎー」で育ったにもかかわらずだ。もちろん存在は知っていた。しかし、私の知る呼び名はワカリジーでも為朝岩でもなく「もっこり山」だった。前田区の皆さん、申し訳ないです。

 何十年とその地域に住んでも案外、周辺地域の歴史や文化を知らない場合は多い。私もその一人だった。今、地方部記者として地域の歴史や魅力を伝えねばとの使命感に燃えている。

(浦添市、西原町担当)


ゆんたくあっちゃー 県内各地を駆け回る地方記者。取材を通して日々感じることや裏話などを紹介する。