コザ騒動50年を問う 「KOZA BUNKA BOX」で特集 騒動で訴えたことは今


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コザ騒動について特集した「KOZA BUNKA BOX」の第17刊

 【沖縄】沖縄市はこのほど、市の歴史をさまざまな視点でつづる「KOZA BUNKA BOX(コザブンカボックス)」の第17号を発刊した。民衆が米軍車両を焼き払った1970年の「コザ騒動」から50年が経過した特集として、コザ騒動に関する我部政明琉球大名誉教授、野添文彬沖国大准教授の特別寄稿を掲載している。

 我部氏は論考で、温厚だと考えられていた沖縄の人たちがコザ騒動を起こしたことは日米両政府の関係者に大きな衝撃を与えたとした。一方、「日本政府はこうした沖縄の潜在性におびえながらも、抵抗は小さいと思い込んで現在の基地政策を進めているのだろう」とし、騒動が大きな政策の変化にはつながらなかった点を指摘した。

 野添氏は、日本政府は当時、目前に迫っていた沖縄返還を「優先した」ことから、米側に在沖基地の整理縮小を強く求めることはなかったと指摘した。その上で今も在日米軍専用施設の7割が沖縄に集中し、米軍に特権を与える日米地位協定も改定されていないことから「『コザ暴動』によって提起された問題は今日においても解決されていない」とした。

 特集したコザ騒動について桑江朝千夫市長は「市民のうっ積した怒りが爆発した」と振り返り、「少なくなったとはいえ、基地を抱える街では変わらず事件・事故がある。節目、節目に考える機会になればと思う」と話した。特集は700円。市役所や市中央の市戦後文化資料展示館「ヒストリート」で販売している。