海銀新頭取に内定 新城一史氏インタビュー 「御用聞き」の役割強化


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沖縄海邦銀行の頭取に内定し、今後の銀行経営の展望などについて語る新城一史氏=17日、那覇市久茂地の同行本店

 沖縄海邦銀行の新頭取に常務の新城一史氏(57)が就任することが内定した。地銀再編の動きが活発化する全国的な流れもある中で、新型コロナ感染症の影響で県内の金融環境は厳しさを増し、銀行の安定経営に向けて難しいかじ取りを担うことになる。新城氏に抱負や今後の展望を聞いた。 (聞き手 小波津智也)

   ◇   ◇   
 ―9年ぶりの頭取交代となる。
 「言い渡された直後は緊張して身の引き締まる思いが優先したが、皆さんの期待に応えられるように前向きに頑張りたい」

 ―県内でもコロナの感染が広がり、県経済にダメージが出た。
 「これほど広範囲に大きく影響があったことは過去に例がないのではないか。ワクチン接種が進んでいるが、県内事業所の大多数である中小や零細企業が回復するまでには2、3年以上はかかるかもしれない」

 ―コロナ後を見据える中で、収益確保をどのように考えるか。
 「収入を飛躍的に伸ばすのはかなり難しいのではないか。従来通りのきめ細かい顧客支援をしながら金融仲介も維持していきたい。一方で、支出の部分が大きな課題だ。これまでの運営を見直し、思い切った削減で支出を抑制することをスピーディーにやっていくことが大切だと考えている」

 ―今年1月に琉球銀行と沖縄銀行が包括業務提携協定を結んだ。2行との業務提携の意思は。
 「2行の提携の柱はバックオフィスの業務効率化と地方創生だと理解している。われわれとしてはシステムバンキング九州共同センター(SBK)に加入してシステムを共同化するなどし、業務の効率化を進めている。地方創生も、県よろず支援拠点を活用するなどし、お客さまへの業務支援を継続的に実施している。ただ、われわれが検討する中で他行との連携が有用だということになれば、前向きに考えたい。自主的に呼び掛けることも十分にあり得ると思う」

 ―第16次中期経営計画が本年度で終了する。
 「15次では中小・小規模の企業に特化していくということを推進し、16次でさらに深化させた。17次でも基本方針は変えず、さらに強化していきたい。お客さまの利便性向上へブランチインブランチ(店舗内店舗)などの店舗戦略を進め、新たな中期経営計画でも取り組んでいきたい」

 ―海銀の強みは。
 「お客さまからは、庶民的であると伺っている。敷居が低く、相談しやすい雰囲気があるようだ。内部に目を向けると、一つの目標や方向性を決めた時の爆発力を非常に持った金融機関だと考える」
 「行員には『サザエさん』の三河屋のようになりなさいと伝えている。三河屋は目立たない存在だが、磯野家の情報を正確に把握し定期的に家を訪ねて御用聞きとして信頼を得ている。それが銀行とお客さまの理想の関係ではないかと思う。われわれも御用聞きとして役割を強化していきたい。一方でデジタルトランスフォーメーションも推進し、お客さまの利便性向上もより一層進めていきたい」