那覇軍港移設 議論加速へ 「辺野古と同じ構図」指摘も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
那覇軍港(2019年)

 米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添ふ頭地区への移設について政府、県、那覇、浦添両市、那覇港管理組合が話し合う移設協議会が19日、約1年半ぶりに開かれる。2019年11月以降、開催が滞っていた移設協議会だが、今年3月に同協議会開催の前提とされていた民港の形状案について県、那覇、浦添両市と那覇港管理組合が合意したため再び動き出した格好だ。今後、主な議論は軍港部分に移る。軍港の配置や形状案などは最終的には日米政府間の合意事項だが、浦添移設に向けた具体的議論が加速する公算が大きい。

 軍港の代替施設の配置先を巡っては県と那覇市が推す「北側案」と、浦添市の「南側案」で意見が割れていたが、昨年8月に松本哲治浦添市長が北側案の受け入れを表明。3者の足並みがそろった。防衛省はその直後に移設協議会の開催を打診したが、県は「時期尚早だ」として応じず、民間部分の形状案がまとまってから開催すべきだと先送りしてきた経緯がある。

 民港案をまとめるに当たって県や両市は、埋め立て面積を縮小するなど自然環境への配慮を強調した。しかし、埋め立てを前提とした移設計画に変わりはなく、環境への負荷は避けられないままだ。また、軍港移設は米軍のために海域を埋め立てる辺野古新基地建設と同じ構図だとの指摘もあり、移設そのものに反対する声や、県の対応の整合性を問う声も根強い。

 県関係者は「新たな基地機能を設ける辺野古と、現行の施設を単純に移行する軍港は問題の性質が異なる。基地機能強化に直結するとは言えない」と、従来の見解を繰り返す。

 だが、移設後の施設の機能や形状など詳細は現時点で分かっておらず予断を許さない。来年の知事選を控え、辺野古新基地建設との整合性も問われる中で、玉城デニー知事が、移設協議会でどのような方針や要請を掲げるのかにも注目が集まりそうだ。 (当銘千絵、明真南斗)