手術延期、救急制限も…医師「もどかしい」 コロナ感染拡大で医療逼迫


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
那覇市立病院

 沖縄県が19日に発表した県内の新型コロナウイルス感染者は、最多の203人となった。感染拡大で県内医療が逼迫(ひっぱく)する状況を受け、県は同日、医療非常事態宣言を発出した。新型コロナ患者の対応に追われる医療現場は、感染者数200人超の状況に危機感を募らせる。急ぎではない手術・検査の先送りや救急受け入れの一部制限など、医療全体に影響が及んでいる。

 新型コロナ患者が増えている浦添総合病院は、新型コロナを含む重症患者の受け入れに注力するため、救急外来診療を制限している。救急集中治療部医長の岩永航医師は「(新型コロナで)中等症・重症化する年代は、以前は中高年が中心だったが、若くなりつつある」と指摘する。同院の医療スタッフの不足も解消されておらず「普段なら受け入れられる人に医療を提供できないのがつらく、もどかしい」と心境を吐露した。

県の医療非常事態宣言を受けて、那覇市立病院が公表したお知らせ(同病院ホームページより)

 那覇市立病院は県の緊急要請を受け、感染者の受け入れ病床を拡大する方針だ。19日、同院は不急の検査や手術による入院、救急外来診療の一部を制限すると発表した。かかりつけ医など近隣の医療機関への相談・受診を呼び掛けている。

 感染拡大が続く石垣市の県立八重山病院では、緊急を要しない治療や手術などは先送りするなど一部で診療の制限が始まっており、当面は続く見通しだ。軽症者用の宿泊療養施設も満室に近づき、担当者は「このままの状況が続けば、症状が軽い人を自宅療養とすることも考えなくてはならない」と危惧した。

 県立宮古病院は新型コロナの影響で、4月20日から一部診療を制限する。緊急手術を除き、急を要さない手術・検査を当面の間、延期している。現時点で救急受診の制限はないが、病院職員は「島内で重症患者が発生した場合に、本島へ移送できなくなることを懸念している」と話した。

 本島北部の医療従事者は「北部地域の感染者数が『他地域に比べて少ない』と思われて、今後、中南部から多くの人が訪れないか心配だ」と吐露した。

 県立中部病院感染症内科の椎木創一医師は「急ぎでなければ昼間にクリニックなどで受診してほしい。一方、コロナかどうかを個人で判断するのは難しい。高熱や息苦しさなどを感じたときは躊躇(ちゅうちょ)せずに救急受診を利用したほうがいい」との考えを示した。