酒類提供停止の見送りに飲食業界は…一定理解、でも業界の厳しさは切実


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 緊急事態宣言の適用を国に要請することを決定した県は19日、まん延防止等重点措置地域の飲食店などに酒類提供の終日停止を求める措置については、実施を見送ることを発表した。飲食業界の強い反対を受けて、当初の方針を変更した。一方で、国が沖縄県を緊急事態宣言地域に指定した場合は、酒類提供店には休業要請が出されることから、「従業員の生活が脅かされる」と懸念の声が上がる。

 県飲食業生活衛生同業組合は、酒類の提供停止要請に強く反対してきた。鈴木洋一理事長は、時短要請に応じずに深夜営業を続ける店舗への不満が組合員の間で根強いとして、「県の要請に応じている店は酒を出せず、応じない店が通常の営業を続けるとなれば、不公平感はさらに強くなる」と強調した。県が方針を変更したことに「厳しい状況を分かってもらえた」と一定の理解を示した。

 沖縄観光飲食業の会の与儀哲治氏は、重点措置で98%以上の飲食店は時短営業に応じているとして「なぜさらに厳しい措置を取ろうとしたのか、結論に至るプロセスがはっきりせず納得ができない。細かいデータと分析を明らかにする責任が、県にはある」と不満を示す。「方針が変更されて良かったというだけでは終わらない。検証が必要だ」と求めた。

 現状での酒類の終日提供停止は見送られたが、緊急事態宣言が発令されれば、県内の酒類を提供する飲食店には休業要請が出される。

 県内のスナックやバーなど約2800店が加盟する県社交飲食業生活衛生同業組合の下地秀光理事長は「時短でも営業ができなければ、従業員の生活が脅かされる。業界にはシングルマザーも多く、子どもたちはどう生きていけばいいのか」と語気を強める。「離島県の沖縄は第3次産業に頼らないといけない実情がある。国や県は実情を踏まえて施策を決めるべきだ」と切実に訴えた。