部活体罰・暴言、指導者側の認識は半分以下 被害133人「声に気づいて」


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 県教育委員会が20日に公表した県立学校の部活動の在り方などを検証する「2020年度部活動実態調査」。回答した部員と部活指導者の間で、体罰・ハラスメントの有無や、解決されたかどうかの認識に隔たりがあることが浮き彫りになった。保護者らは、悩みを抱え込んでしまいがちな生徒の声を拾う仕組みを求めている。

 コザ高2年の運動部主将の自殺を受け、県教育委員会が実施した部活動実態調査で、部員の2%(133人)が体罰・ハラスメントを受けた経験があることが判明した。保護者は「少なくない」と指摘し、苦しんでいる生徒の声を拾う取り組みを求めた。指導する側と、される側の認識のずれも明らかになり、現役指導者は「自分の指導は正しいのか」と思い悩んだ。

 体罰・ハラスメントを受けたことがあると回答した生徒が2%だったことに、剣道部の保護者(55)は「少ないではなく、100人余がいたことを問題と考えないといけない」と指摘する。実態を把握することの重要性を挙げ「今後も定期的に調査し、変わっていく方策を見いだしてほしい」と要望した。女子サッカー部員の保護者(41)は「訴えられない生徒も多いはず。その声に気付く仕組みがあればと思う」と話した。

 ベテラン外部指導者の男性が実態調査で気になったのは「信頼関係が築かれているか」という質問だ。「あまり感じない」「全く感じない」の回答が指導者は計10.1%だったのに対し、部員は計19.7%とずれがある。男性は「一番大事な部分でずれている。信頼関係がなければ、指導者を辞めないといけない」と自戒を込めた。

 実態調査ではハラスメントの半数以上が暴言であることが判明した。男性は「何が暴言に当たるのか、指導者と生徒で感じ方がずれている。私が言った言葉を生徒はどう感じたのか、部活が終わってからも気になっている」と明かした。

 本島南部の高校で運動系の部活動を指導している男性教諭(38)は、かつて体罰や暴言を「指導」として受けていた年代の指導者に、課題が多い可能性を指摘した。「『自分の時代はこれが当たり前だった』という考えで、耐えられなければ『甘い』と判断する。体罰は指導ではないという当たり前の認識が、まだ現場に足りていない」と話し、研修の必要性を訴えた。