1カ月我慢再び…「仕方ない」 緊急宣言 沖縄4度目 県民や医療現場はいま


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 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、沖縄は23日から緊急事態宣言が発令されることが決まった。多くの県民が4度目の緊急事態宣言を「仕方ない」と受け入れる。一方、一足先に「県医療非常事態宣言」が出された医療現場からは、増え続ける感染者を前に悲鳴が上がる。薄れてしまった緊張感を取り戻し、感染者を減らせるのか。我慢の1カ月が再び始まる。

国際通りを行き交う人たち=21日午後6時すぎ、那覇市久茂地

 21日正午すぎの県庁周辺。昼食時間でいつもと変わらない様子で、飲食店に吸い込まれる人々の姿があった。パレットくもじ前にいた公務員の男性(40)=浦添市=は「もう十分対策をしている。これ以上できるのは土日に外出しないとかではないか」と指摘した。

 午後3時。日差しが差し込んだ那覇市の国際通りは、半袖姿の観光客や学生がぽつぽつといるだけだった。大型連休中のにぎわいは影を潜め、土産物店などでは店員が通りを眺めて立ち尽くしていた。

 飲食関係の営業で、出張のため福岡県から来たという知久咲子さん(26)は「宣言が繰り返される理由を考えないといけない。市民は協力しないといけないと思うが、気の緩みも感じる。沖縄県には今回で抑え込むという対応をしてほしい」と話した。

 19日の県医療非常事態宣言を受け、那覇市立病院は感染者の受け入れ病床を拡大する方針を発表した。コロナ病床を確保するため、一般診療を縮小してコロナの中等症・軽症患者の治療に当たる。

 救急外来診療の一部を制限し、不要不急な救急受診を控えるよう呼び掛けている。しかし、同院担当者は現時点で「目に見えた効果は出てない」と吐露した。21日には過去最多となる207人の新規感染が確認された。同院でも、県全体の傾向と同様に若い世代の利用が増えている。「毎日200人近く陽性者が出ると県全体の病床を増やす必要がある」と危機感を示した。

 那覇市の沖縄赤十字病院は新型コロナの影響で、急ぎではない検査や手術を延期している。担当者は「医療非常事態宣言や緊急事態宣言が出ても、患者を受け入れる側の対応は変わらない。宣言により感染者が減ってほしい」と切望した。