緊急事態 沖縄4度目 経済界「夏までに押さえ込みたい」 理解示す一方で実効性に不安も


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 「夏までに、何としても押さえ込まなくてはならない」。連日200人前後の新規感染者が発生する中で出された4度目の緊急事態宣言に、経済界からも感染拡大を押さえ込む必要性に賛同する意見が相次いだ。一方で県民の間に「宣言慣れ」(飲食店関係者)もうかがえ、実効性に不安を抱く声も上がった。

 県商工会連合会の米須義明会長は「5月末までかと思っていたが、予想よりも期間が長くて驚いた。本気で感染を押さえ込めという政府のメッセージを、経済界としても受け止める必要がある」と話した。

 ただ、苦境の中で雇用という最後の一線を守ってきた雇用調整助成金の特例措置が、6月末で終了予定とされていることを懸念する。「企業が休業や時短営業をできるのは、特例措置で支えられているからだ。無理してでも続けてもらわないと、雇用が守れない」と、継続を強く求めた。

 沖縄経済同友会の渕辺美紀代表幹事は「今度こそ、徹底して封じ込める必要性がある」と宣言に理解を示し、「長期間なので、補償がしっかりされることが大前提だ。正念場なので、県も財政支援を踏ん張って県民挙げて乗り切る必要がある」と話した。

 先行きを不安視する声もある。那覇市内の飲食店の店長は、深夜も営業している飲食店に客が集まっている現状に「みんな異常事態に慣れて感覚がまひしてしまっている。飲食店が休んでも、県民が油断していたら(感染は)終わらない」と不安を口にした。

 書き入れ時の夏場を前に、観光への影響は大きい。例年、5月中旬ごろから夏の予約が入るが、7、8月の予約率はまだ低い水準にとどまっているという。那覇市内のホテル経営者は「6月20日までに感染拡大を終わらせないと、夏はだめになる。まん延防止等重点措置の時みたいなざるのような対策をしていると、緊急事態宣言も意味がない」と危機感をあらわにした。

 県ホテル旅館生活衛生同業組合の宮里一郎理事長は「ほぼ休業状態というホテルも多い。これから先、無担保無利子の借り入れの返済時期が来た時に、事業継続が厳しくなるところも出て来る」と話した。