【記者解説】緊急宣言 沖縄4度目 繰り返す規制と緩和 「負の連鎖」に県の対応は


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 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ「緊急事態宣言」に追加され、沖縄は2度目となる政府の宣言下に入った。県独自の緊急事態宣言もこれまでに3回出され、感染症が流行した昨年春以降、1年以上にわたり規制と緩みを繰り返す「負の連鎖」が続いている。

 県が経済対策と感染症対策の板挟みとなり、難しいかじ取りを迫られてきたのも事実だ。業界の声を聞き取り、感染者が減少傾向にある際は観光支援事業なども打ってきた。

 県は今回の感染者の急増を「想定外」とするが、感染状況を見つつ、経済のアクセルとブレーキの比重を変えながら踏む対応の限界が露呈した形だ。

 関係者によると、大型連休前の4月26日時点で、専門家から宣言の要請に踏み切るべきだとの意見も上がっていた。結果的に経済界などの意向を踏まえ、取りやめたという。県幹部からも「見通しが楽観的だった」という声が漏れる。

 玉城デニー知事は21日の記者会見で、これまでの対策を「一生懸命全力を尽くして、対策、対応を取ってきた」と強調。一方、医療の逼迫(ひっぱく)状況や、外出自粛など県民に行動変容を求めざるを得ない状況に陥ったことについて「反省すべきだし、残念だ」とも述べた。

 変異株の急増で感染拡大のペースは急激に上がり、それを予測できなかった県の対応は今後、検証する必要がある。同じ連鎖を繰り返さないためにも、県は過去の判断についての「たられば」ではなく、批判を恐れず、迅速に実効性のある対策を講じていく必要がある。「自粛疲れ」が見える県民に、封じ込めの出口や目標を示すことも求められる。

(池田哲平)