ザトウクジラ、沖縄―フィリピンを回遊 美ら島財団など新ルート発見 研究者「保全に生かす」


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フィリピン―沖縄の周辺海域を回遊するザトウクジラの移動経路のイメージ図(国営沖縄記念公園海洋博公園提供)

 【本部】沖縄美ら島財団とフィリピンの研究機関がこのほど、ザトウクジラが沖縄―フィリピン間で回遊していることを明らかにした。フィリピン周辺のザトウクジラ230頭のうち、43.48%に当たる100頭が以前に沖縄周辺で確認された個体だった。海域間を行き来する頻度や状況から、同じ集団の可能性があるという。

 ザトウクジラの回遊経路については不明な点が多いとされており、同財団は「ホエールウオッチングなどの対象でもあるザトウクジラの保全管理を行う上で大変重要な発見だ」としている。

 5年ほど前から、フィリピンの研究機関BALYENA.ORGと共同研究を実施した。

 北太平洋のザトウクジラは夏にロシアやアラスカなど高緯度海域で餌を食べ、冬に沖縄やフィリピンなど低緯度海域で繁殖や子育てをする。尾びれの特徴で個体を識別したという。

 同財団総合研究センター動物研究室の研究員、岡部晴菜さんは「沖縄に回遊するザトウクジラが、フィリピンまで回遊することが分かった。非常に大事な情報で、今後の海洋生物の保全管理に生かしたい」と語った。

 今回の研究は国際学術誌「ジャーナル・オブ・シテーション・リサーチ・アンド・マネジメント(Journal of Cetacean Research and Management)」の22号に掲載された。