病院内の感染管理で重要視される認定看護師とは? その仕事と沖縄の現状


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院内感染の防止に携わる中頭病院の感染管理認定看護師・浜元沙織さん=20日、沖縄市登川の同病院

 新型コロナウイルスが猛威を振るう中、医療現場で感染管理を徹底する認定看護師の役割が重要視されている。向き合う相手は医師や看護師など。感染制御チームによる横断的な連携で、院内の医療提供体制を盤石にし、患者の回復につなげる。中頭病院(沖縄市)の感染管理認定看護師、浜元沙織さんは「エビデンスを基に正しく恐れることが重要」と話し、感染管理の指揮を執る。

 中頭病院の病床は355床。コロナ専用は二十数床で、重点医療機関として中等・軽症患者十数人を受け入れている。その中で、浜元さんは感染対策計画を練り、防護具の着脱指導のほか、手術室や薬剤室など施設環境もチェックする。

 院外でも感染者が発生した介護施設へ出向いて対策を指導するなど、役割は幅広い。

 コロナ禍で、難しい決断を迫られるのが「みとり」だ。面会制限の中、最期を迎える患者の家族は、通信端末の画面越しに寄り添うしかない。看護師はそれを見守り、亡くなった後は遺体を納める「納体袋」に納め、葬祭業者へつなぐ。コロナ禍以前と比べて満足なケアができない状態に、浜元さんは「看護師の精神的負担も大きく、臨床心理士によるケアも必要になる」と目を伏せた。

新型コロナ専用フロアで、防護服で感染対策しながら業務にあたる看護師ら=中頭病院(提供)

 看護師歴27年の浜元さんにとっても、新型コロナの猛威は未経験の対応に迫られた。コロナ患者の受け入れから約1年が経過し、院内の対応レベルも向上しているという。ただ、中部地域はコロナ以外の病床使用率も常にひっ迫状態で、日常的に近隣病院と病床の空き具合を調整している状況で、時には南部地域からのコロナ患者を受け入れることもある。

 「先が見えたらいいですけど…。もう必死です」。そう語る笑顔には、疲れが少しにじんでいるようだった。

 新規感染者が198人となった19日、浜元さんのポケットに入っていた二つの電話が鳴り続けていた。院内や県のコロナ対策本部からの連絡で、陽性者6人の受け入れを調整していた。「今だからこそ、手洗いや不織布マスクの着用を徹底してほしい」。浜元さんが県民に向かって呼び掛けた。 
  (嘉陽拓也)