再エネ推進や貧困対策など新たに6税制 沖縄県、国に要望 


再エネ推進や貧困対策など新たに6税制 沖縄県、国に要望 
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 2021年度末で期限が切れる沖縄振興策に代わる新たな振興の制度制定に向けて、県は20日までに、新たに六つの税制措置を国に要望した。地球温暖化対策で国が「50年までの脱炭素社会の実現」を掲げたことを受け、県は再生可能エネルギー設備や水溶性天然ガス活用設備の取得後、固定資産税を3~5年間軽減する「クリーンエネルギー導入支援」制度を要望する。

「子どもの貧困」対策として、ひとり親世帯の親を雇用した場合、3年間に限り、所得の2割を法人税の課税所得から控除する特例措置も要望した。

 また、沖縄の特殊事情に起因する社会課題の解決を目指す中小企業の法人税を、最大5割程度軽減する「SDGs(持続可能な開発目標)特区制度」の創設も求めた。

 全国最下位の1人当たり県民所得や全国平均7割の労働生産性の向上のため、中小企業が人材育成や研修などを実施した場合、費用を所得から控除して法人税を軽減する特例措置も求めている。

 県内開催のスポーツイベントや県内に拠点を持つプロスポーツチームなどに、個人が協賛金を出した場合、所得税を優遇する「スポーツアイランド沖縄」の形成に向けた支援も要望した。沖縄科学技術大学院大学(OIST)を核としたスタートアップ企業の集積を目指し、研究開発を行う企業を認定し、出資者や所属する個人らに対してさまざまな税制優遇措置を認める「沖縄イノベーション特区」の設置も求めた。

 自民党の沖縄振興調査会の小渕優子会長は新たな沖縄振興について「単純延長はない」との見方を示しており、県は方向性をどう打ち出すか検討を続けている。

 玉城デニー知事は「期間や内容とか具体の話ではなくて全体的なことを指して、単純延長ではないという風にわれわれは受け止めている」と説明している。

 県はこれらの新税制措置のほか、既存の観光地形成促進地域や航空機燃料税の軽減措置など13の制度の継続・拡充を求めている。

・沖縄県が新たな沖縄振興で提言する税制(新規)
 (1)民間活力を活用したSDGsによる課題の解消支援制度
 (2)クリーンエネルギー導入支援
 (3)沖縄の子どもの未来を創造する総合支援制度
 (4)人材投資の促進
 (5)「スポーツアイランド沖縄」形成支援制度
 (6)沖縄イノベーション特別地区