大黒柱が退場、危機的状況でキングスが見せた集中力 逆転勝ちで千葉に雪辱 CS準決勝第2戦


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琉球―千葉 第4Q、切り込んでシュートを放つキングスの田代直希=23日、沖縄市の沖縄アリーナ

 プロバスケットボールBリーグ1部の琉球ゴールデンキングス(西1位)は23日、沖縄アリーナで千葉ジェッツ(東2位)と2戦先勝方式のチャンピオンシップ(CS)準決勝第2戦を行い、84―78で接戦を制し、対戦成績を1勝1敗のタイに戻した。試合開始から14連続得点を挙げ、3点リードのまま前半を折り返したキングス。後半は千葉に逆転を許し、じりじりと点差を広げられた。それでも岸本隆一やキム・ティリの3点弾など残り約1分で再逆転に成功し、勝利をものにした。決勝進出を懸けた最終第3戦は24日午後7時5分から、沖縄アリーナで行う。

 4点を追う第4Q残り約4分、最大の勝負どころが訪れる。リーグのリバウンド王である大黒柱のジャック・クーリーがファウル五つ目を取られ退場。崖っぷちに追い込まれたが、誰一人として諦める選手はいなかった。コート上にいたドウェイン・エバンスが誇らしげに振り返る。「このチームは、そういう時に一人一人が向上できるんだ」

 その言葉通り、激しい守備や全員リバウンドに対する集中力は全く衰えず、離されない。残り2分で岸本隆一が3点弾を決め、差はあと2点。キム・ティリも3点弾で続き逆転に成功したが、その後はシーソーゲームに。残り1分を切った緊迫した場面でエバンスが着実に加点し、最後は田代直希主将がスチールからの単独速攻で得点して熱戦に終止符が打たれた。

 万雷の拍手が降り注ぐ中、笑顔で互いをねぎらい、たたえ合う選手たち。藤田弘輝HCは「牧がリバウンドを頑張り、船生がいい場面で3点弾を沈め、満原が体を張ってくれた。小さいことの積み重ねが結果につながった」と一丸でつかんだ勝利をかみしめた。

 Bリーグ開幕元年から準々決勝進出、2季連続の準決勝進出と着実に決勝の舞台への階段を上ってきたキングス。生え抜き9年目の岸本は試合後、ファンを前に「一番の勝因はホームだったこと。みんなの力を結集して次戦も頑張りたい」と決意を語った。勝っても負けても、今季ホーム最後の試合となる第3戦、選手、スタッフ、そしてファンが一丸となった「団結の力」が試される。
 (長嶺真輝)


▽準決勝第2戦(沖縄アリーナ、4070人)

キングス(西地区1位)1勝1敗
 84―78(28―18,12―19,19―26,25―15)
千  葉(東地区2位)1勝1敗

 【評】リバウンド数で相手に17本多く取られた第1戦から一転、逆に相手を12本上回ったキングス。後半はリードを許す展開が続いたが、最後まで激しい守備と全員リバウンドの意識は衰えなかった。我慢を続けた結果、最終盤でも集中力が切れず、3点弾やスチールからの速攻で逆転勝利を飾った。

◆最も記憶に残る試合

 藤田弘輝HC(キングス)の話 人生で最も記憶に残る試合になった。コートサイドから見ていて感動した。選手を誇りに思う。勝因はリバウンドを全員で頑張ったことに尽きる。次戦は気持ちの部分が大事になる。強い気持ちでプレーしていきたい。

◆敗因はボール支配率

 大野篤史HC(千葉)の話 敗因はボール支配率で負けたこと。積極的に守備もやらなかった。3点弾も打たせてはいけない時に打たせてしまい、これでは勝てるものも勝てない。試合後、選手には「勝つためには何をしないといけないか考えよう」と伝えた。