夏の観光再開へ「我慢」 緊急宣言受けホテルなど臨時休業相次ぐ


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緊急事態宣言が発令されて初の平日。国際通りには、観光客の姿はほとんど見られなかった=24日夕、那覇市

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令で、沖縄県への来県自粛が呼び掛けられたことを受けて、県内のホテルや観光施設では臨時休業を決める企業もあるなど影響が出ている。昨年の夏以降は時短営業や営業日の縮小などで対応し、長期休業に踏み切る施設は少なかったが、多くの観光関連施設が休業した第1波以来の動きとなる。観光関係者は「ここで我慢して、どうしても7月以降の観光は動かしてほしい」と訴える。

 宜野湾市のラグナガーデンホテルは24日、6月3日まで臨時休館することを公式ホームページで発表した。6月4日の午後2時から営業再開するという。

 宿泊営業を続ける県内各ホテルでは、レストランは酒類提供を全面停止した上で稼働を続けるなどの対応を取っている。

 観光施設では、OKINAWAフルーツランド(名護市)は緊急事態宣言が発令された23日から、6月25日まで約1カ月の臨時休館に入った。第1波が猛威を振るった昨年4月以来の、長期休館となる。期間中に修学旅行やスポーツ団体の予約があったが、全て中止や延期となった。

 安里竜也副社長は「観光産業は悲鳴を上げている。苦渋の思いで休館とする」と声を振り絞った。

 おきなわワールド文化王国・玉泉洞(南城市)も23日から「当面の間」、臨時休館する。緊急事態宣言が延長になった場合を想定して、営業再開日を明記していない。宣言の延長に伴って休館日を延長した際に、旅行社からの送客への対応で苦慮した経験があるためだという。

 施設を運営する南都の大城宗直社長は「緊急事態宣言は重い。今まで我慢していたが、重い決断をしないといけない時期に来ている。支援策もとても足りない」と訴える。

 体験王国むら咲むら(読谷村)も、6月30日までメイン施設を休館する。修学旅行の予約が数件入っていたが、まん延防止等重点措置が出た時期からキャンセルが出始め、宣言期間中の予約は全て中止や延期となった。だが、入居する工房から営業を続けたいとの要望もあり、期間中は園内を無料開放する。担当者は「県内の感染状況もすごい状況なので致し方ない。(無料開放で)散歩がてら通るお客さんなどが、少しでも癒やしにしてもらえれば」と話した。 (中村優希)