振興策成果指標 前倒しで設定へ 沖縄県、国の「不適切」指摘受け


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 2021年度末で期限が切れる沖縄振興特別措置法などに代わる新たな沖縄振興の策定に向け、県は24日までに、3月に示された国の総点検結果への対応方針をまとめた。県はいくつかの施策で成果を図る指標が「不適切」と指摘されたことを受け、新たに各施策の成果指標を前倒しで設定して示す「施策の関連体系図」を作成する。成果指標の妥当性は6月から開催する県振興審議会に諮る考え。また、成果が不十分と指摘された施策は5月末に公表予定の次期沖縄振興計画(振計)素案に改善策を盛り込む。

 内閣府の総点検では、沖縄ディーエフエス(DFS)の展開につながっている沖縄型特定免税制度の成果指標の入域観光客数について、同制度の成果を測定する指標としては不適切との指摘があった。

 また、観光土産品の開発促進へ向けたメーカーへの普及や販路拡大に関する施策は、観光客1人当たりの土産品購入額増につながっていないとして、有効性に課題があると指摘された。

 昨年9月に就任した河野太郎沖縄担当相は、内閣府に対して、この10年間の沖縄振興施策の効果を「データとエビデンス」に基づいて把握するよう指示した。内閣府は(成果に至るまでの道筋を可視化する)ロジックモデルを用いて分析し、総点検結果として今年3月に公表した。

 内閣府は36の基本政策を「観光・リゾート」など12項目に再分類し、それぞれの成果と課題を検証した。その際に(1)有効性が認められる(2)有効性に課題あり(3)適切な効果把握に課題あり―の三つの評価に振り分けた。検証された政策は約250に及び、それぞれ(1)200(2)40(3)10だった。河野氏は「全体の4分の3ぐらいは有効に活用できている」と評価していた。

 一方、精緻な点検をしたことにより10年前の振計策定時には半年以上前に公表されていた総点検の作業が遅れ、当初今年3月を想定していた県の素案公表の遅れにもつながった。

 県企画調整課の担当者は「国からいくつかの施策の成果指標は不適切との指摘を受け、前回は振計策定後に設定していた成果指標を前倒しで設け、指標の妥当性も早めに議論する」と話した。