特定健診をSMSで案内、受診率向上へ 関心度で文面の工夫も 浦添市


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浦添市とケイスリーが大腸がん検診の受診率を高める際に用いたショートメールのイメージ図(ケイスリー社提供)

 【浦添】携帯電話で使用する「ショートメッセージサービス」(SMS)を用いて、沖縄県浦添市が特定健診の受診率向上に取り組んでいる。具体的には市民にショートメッセージを送り、受診を促す。同じ内容の文章は送らず、送り先に応じて内容を変え、市民一人一人の意識改革を図るのが特徴。実施している企業は、あらかじめ設定された目標の達成度に応じて報酬を得る仕組みとなっている。

 特定健診は生活習慣病の予防が目的。浦添市における2018年度の特定健診受診率は34.8%と県平均の39.3%より低くなっている。

 事業の実施主体は、東京に本社があるIT関連企業のケイスリー。同社は行動科学に基づいてメールを送る時期や文面などを考える。

 例えば、健診に無関心な層には、メタボの危険性などを提示し、健診の重大性を認識させる。健診に関心はあるが何をすべきか分からない層には、健診の具体的な日程を送ることで行動を促す。メールは特定健診の対象者全員に送るのではなく、市が把握する携帯電話番号宛てに送る。

 実績に応じて報酬を支払う今回の事業は「成果連動型民間委託契約方式」(PFS)と呼ばれる手法を活用した。県内の自治体では浦添市が初めて導入する。従来のはがき送付に比べて費用対効果が高いことが最大の利点だ。

 特定健診に関する今回の取り組みは20年度から22年度までの事業で、来年9月には本年度の受診率が確定する。事業費は約900万円。

 一連の取り組みについて松本哲治市長は「事業を通して市民の特定健診に対する意識を変え、受診率向上につなげたい」と話した。

 浦添市とケイスリーは今回の事業着手に先立ち、厚労省の「成果連動型民間連携モデル事業」を活用し、大腸がん検診の受診率向上を図った。その結果、19年度の大腸がん検診の受診者数は18年度と比べて40%増加した。