浦添総合病院、来月着工は変更せず 移転で市民説明会 80人参加、意見に賛否


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浦添総合病院の移転について市からの説明を聞く市民ら=20日、浦添市中央公民館

 【浦添】浦添総合病院の前田公務員宿舎跡地への移転を巡り、浦添市は20日、市中央公民館で市民説明会を開催した。市は病院側への国有地払い下げの経緯や移転に関する市の姿勢などについて説明した。松本哲治市長は「市として公務員宿舎跡地に総合病院を誘致した事実はなく、国に対しても『市民から反対運動が起きても無視して進めろ』などと言ったことはない」と従来の見解を繰り返した。

 説明会には約80人が出席し、賛成、反対双方の意見が上がった。移転工事は6月1日に始まる予定だが、松本市長は「(病院側に)着工を延期してほしいと言える明確な理由がない」と述べ、工事容認の姿勢を見せた。市景観まちづくり審議会が指摘した屋上階に設置予定のレストランを下の階へ移動することなどは「守ってほしい」と要望した。

 市は現在、審議会の意見を踏まえ、病院側と協議を続けており、市の担当者は「できるだけ早めに協議を進めたい」と述べた。

 説明会には病院の担当者も出席し、「(ワカリジーの)高さを超えることは本当に申し訳ない。市民、県民の命を守るために6月に着工させてもらいたい」と述べ、工事のスケジュールは変更しない考えを示した。病院側が示した計画では、ヘリポートの設置場所が市で最も標高の高いワカリジー(為朝岩、標高148メートル)を超える高さとなっている。

 市民からは反対の理由として景観、交通量、騒音に対する懸念が出た。賛成の理由には医療提供体制の強化などがあった。一方、病院側が国有地を取得した後に市などに対して新病院の設計内容を伝えたとして「総合病院が信頼関係を損ねる原因をつくった。協議が整うまでは工事を止めるべきだ」などの声も上がった。

 説明会終了後、松本市長は「何が市民のためになるのか見極めたい。病院側には市民に喜ばれる医療機関になるための努力を求めたい」と話した。