PFOS、PFASの議事録や関係資料を不開示 政府「米との信頼損なう」と説明


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
米軍嘉手納基地

 米軍嘉手納基地周辺の河川からPFOSやPFOAなど、発がんリスクなどが指摘される有機フッ素化合物が検出された問題を巡り、外務省が基地内の立ち入り調査に関する日米合同委員会環境分科委員会の議事録や関係資料を不開示とする決定を下していたことが24日、分かった。公にすることで「国の安全が害される恐れ」や「米国との信頼関係が損なわれる恐れ」などがあることを根拠に、不開示決定したと説明している。県民の健康や命に関わる問題についても、政策決定に至る背景や経緯を明示しない日米両政府の姿勢があらためて浮き彫りとなった。

 一連の資料は、琉球朝日放送報道制作局が開示請求した。同局ディレクターの島袋夏子氏によると、いずれも不開示となったが、請求に対する対象文書・資料は3件しかなかった。2016年1月以降、県は汚染源特定のため基地内への立ち入り調査を求めてきたが、この5年間で日米合同委員会が水質汚染問題を議論したのはわずか3回だった可能性が高い。

 島袋氏は「県民が命や生活を守るため切実に解決を望む水質問題だが、日米政府間で具体的な議論が積み上げられた形跡すら感じられない」と疑問を呈した。

 小泉昭夫京都大学名誉教授(環境衛生学)は対策を講じるのに汚染源の特定は不可欠だとし、「5年間も汚染源の特定すらできず放置されている状況は深刻な問題だ」と指摘した。

 県内のPFOS・PFOA問題は、16年1月に県企業局の調査で発覚。県は同年6月に基地内への立ち入り調査を求めたが、米軍はこれを拒否。国が水道水中のPFOSとPFOAに関する暫定目標値を設定したことを受け20年5月、県は沖縄防衛局を通して再び基地内への立ち入りを求めたが、現時点で政府から正式な回答は来ていない。企業局の担当者は「調査ができるよう、引き続き日米両政府に求める」と述べた。

 日米合同委員会の合意文書や議事録は原則非公開のため、識者の中には同問題が合同委員会の協議事項となった時点で、全容のブラックボックス化を懸念する声もあった。