コロナ療養2094人、待機700人「高齢者これから増加」…医療危機さらに


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 1日当たりの新型コロナウイルス感染者数の最多更新が続き、26日時点の沖縄県内の療養者数は初めて2千人を超え、最多の2094人となった。酸素投与が必要な中等症や重症の患者も増えており、医療現場の逼迫(ひっぱく)は一層加速している。感染力が強いとされる変異株「N501Y」の割合は25日の検査で9割近くを占め、その影響か、入院が長引く患者も目立ち始めている。入院待機中の患者も700人に達する勢いで、新たな対策の必要性も浮き彫りとなっている。

 「救急現場では一般患者とコロナ患者が混在する可能性もある。不要不急の救急受診を控えることは、感染から身を守る方策の一つになる」

 那覇市立病院の外間浩院長らは26日、市役所で記者会見し、医師の負担軽減などのため、不急の救急受診を控えるよう市民に呼び掛けた。コロナの感染拡大に伴い、同院は27日からコロナ患者用の病床を24床から40床に拡大する。病床はもともと470床あるが、計2病棟をコロナ用に回すため、それ以外の一般病床は312床に減る。不急の検査や手術を制限し、一般診療を一部縮小して医療資源をコロナ対応に投入する。

 外間院長は「現在は高齢のコロナ患者は少ないが、これから家庭内感染が起こり高齢者も増えていくだろう」と懸念した。

 現在、県は県内23病院に要請し、コロナ患者用の病床として計555床を確保している。26日時点の入院患者は465人だが、それ以外にも入院調整中の患者が過去最多の685人に膨れ上がっている。

 日々3桁の感染者数が出続ける中で県や保健所の作業も膨大になり、入院手続きが遅れるケースも発生している。県の糸数公医療技監は26日、入院調整の受け入れ態勢について「人を増やして対応しているが、これまでに比べて遅れが生じている」と説明した。

 一方で、入院患者の多くを占める中等症の患者(26日時点で269人)がなかなか減らず、その要因として変異株の影響が指摘される。県によると、131検体を調べた25日の検査では感染力の強い「N501Y」変異を持つものが115検体あり、87.79%を占めた。本島中南部や宮古島市などで特に置き換わりが進んでいる様子がうかがえ、県は「急激に勢いを増している」と危機感を募らせる。