【深掘り】玉城知事の上京「火に油」県議会紛糾、深夜まで コロナ対策問う野党


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県新型コロナウイルス感染症対策本部長の交代を求める要請書を読み上げる沖縄・自民会派長の島袋大(右から2人目)と公明会派長の金城勉氏(左から2人目)、赤嶺昇議長(右端)ら=26日午後11時ごろ、県議会自民会派室

 新型コロナウイルス関連予算案を審議するため26日に開かれた県議会臨時会は、深夜の午後11時前までもつれ込んだ。本会議の質疑で野党の沖縄・自民党会派議員が玉城デニー知事のコロナ対策を厳しく批判したほか、本会議での議案採決前に、27日の政府要請のため玉城知事が上京したことも、野党の猛反発から紛糾を招いた。

 議会終了後には自民、公明両会派と赤嶺昇議長が知事に新型コロナ対策本部長から退くよう要請するなど、玉城県政のコロナ対策が厳しく問われた1日となった。

■長引く議案審議

 臨時会の質疑で照屋守之県議(沖縄・自民)は、全国でも最悪レベルの感染状況を繰り返すことにいらだちを隠さず、「悪い方向にどんどん向かっている。何を反省して、それをどう生かしているのか」と知事批判を展開した。

 自民会派は、医療資源が乏しい離島が点在する県内でのワクチン配分方法や、大型連休前に緊急事態宣言要請をしなかった理由などについて県行政の対応を追及した。

 そうして本会議での質疑から委員会での議案審議へ移り、なかなか採決の時間が見えてこない中で、夜になって玉城知事が議場を後にして上京したことは、火に油を注ぐ結果となった。地方自治法の規定上、知事の行動に問題はないものの、自民会派は緊急事態宣言下、そして過去最多の300人超の感染者数が確認された中での上京を問題視した。

 加えて、日本復帰50年に向けた基地負担軽減に関する要請は“不要不急”だとの認識を示し、「県民の理解は得られない」(島袋大会派長)と、強い口調で批判した。

■噴出する批判

 一連の野党側の対応に、県政与党からは「批判したいだけ」と冷ややかな声も上がる。一方で、県内では連日過去最多の感染者数を更新しており、県のコロナ対策に対する批判が一気に噴出した結果でもある。

 27日に要請先の東京で、採決時の不在について記者団に問われた玉城知事は、「昨日(26日)の採決はわれわれが出席するという取り決まりにはなっていない。通常いなくても問題にならないことだと思うので、私たちはそこに出席していなかったということだけだ」と問題はないとの認識を示した。

 だが、与党内でも一部しか知らなかった上京に、与党幹部からも「今の時期に、コロナや期限が迫る沖縄振興計画以外で要請に行くべきではない」と疑問視する声が漏れる。自民関係者は「自分から攻撃材料を作ったようなものだ」と淡々と語った。
 (大嶺雅俊)