海洋環境保護「ブルーエコノミー」推進 次期沖縄振興計画、来月1日に県素案


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 県が策定する、2022年度からの新たな沖縄振興計画(振計)の素案の概要が29日までに、分かった。島しょ県の沖縄が日本の広大な排他的経済水域(EEZ)の一翼を担っているとして、海洋環境や資源の保護を経済や地域振興につなげる「ブルーエコノミー」の推進を打ち出す。

 また新型コロナウイルスのまん延により県経済が大打撃を受けている現状や国連のSDGs(持続可能な開発目標)の理念を踏まえて、防疫体制の強化やITイノベーションの促進、気候変動への対応を含めた安全・安心な島の実現も掲げた。

 次期振計の期間は22年度から31年度までの10年間。県が2010年度に策定した初の長期構想「沖縄21世紀ビジョン」の後期計画に相当する。

 玉城デニー知事は6月1日に県幹部らで構成する県振興推進委員会を開催し、素案内容を決定する。6月から開催する県振興審議会に諮問する。県は素案の決定・公表を契機として、次期沖縄振興特別措置法(沖振法)の制定に向けた議論も加速させたい考えだ。

 次期振計でも、現在の振計から引き続いて「わが国の発展への貢献」を打ち出す。世界経済の成長を牽引(けんいん)するアジアと近い地理的優位性を生かし、日本にとって沖縄が「アジアの橋頭堡(ほ)」になることを目指す。計画目標として、アジア・太平洋地域の平和に貢献し、県民の幸福を高め、日本全体の持続的発展に沖縄が寄与することを目指すとした。

 沖振法では、国の基本方針に基づき、沖縄県が振興計画を策定する流れとなっている。県は沖振法の延長を前提に新振計の策定作業を進めているが、2022年3月末を期限とする沖振法の継続を巡る議論は国会でまだ深まっておらず、法制定の可否を含めて不透明な状況もある。

(梅田正覚)