経済界、おおむね評価 次期沖縄振興計画 着実な実現要望も


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 沖縄県は1日、2022年度からの新たな沖縄振興計画(振計)の素案を発表した。経済界からは、先端技術を活用して社会問題を解決する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の推進などを盛り込んだ内容を評価する声がある一方、実効性を持たせるための具体的な方策を求める声も上がった。

 沖縄経済同友会は20年11月、県に対し振計の提言をした。先端技術を実証実験する場「テストベッド・アイランド」や、観光とITを駆使した「リゾテック」など、提案内容は素案に盛り込まれている。

 渕辺美紀代表幹事は「沖縄の優位性を考え、策定した提言。内容にうれしく思う」と評価した。「新型コロナの影響で、観光は甚大な被害を受けた。強靭(きょうじん)な観光をつくりながら、子どもの貧困問題などにもしっかりと対応してほしい。振計を着実に実現させるためのプラットホームづくりも検討してほしい」と要望した。

 「DX推進の意思が横断的に見て取れた」と分析するのは、沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)の稲垣純一理事長。「費用対効果が高く、かつ確実に時代の変化に対応していくためにはデジタル化が必須だ。多方面のデジタル活用に力を注ぎながら、同時に沖縄の強みもさらに生かしていくよう取り組むべきだ」と持論を述べた。

 県経営者協会の金城克也会長は「ウィズ、アフターコロナを視野に入れた取り組みなど、これまでの延長線上ではない取り組みが求められる中、県は素案策定に苦慮したのではないか」と推察する。「計画に盛り込んだ事を着実、確実に実行する担保として、沖縄振興特別措置法の高率補助、一括交付金、沖縄関係税制などのツールをいかに確保するかにかかっている」と強調し、県に対して国との交渉を加速させるよう求めた。