樹齢250年の神木、倒壊恐れで伐採 「守ってくれてありがとう」感謝状で供養


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【名護】沖縄県名護市の瀬嵩公民館裏にあり、推定樹齢250年の神木として扱われてきたフクギの1本が5月19日、倒壊の危険性があることから伐採された。5年ほど前から徐々に枯れ、樹木医が診断するなどしたが、回復しなかった。西平伸区長は「私の代で切り倒すのは忍びないが、この地を守り続けてきた神木に感謝したい」と手を合わせた。

 伐採前には供養の儀礼があり、区長は感謝状を読み上げた。作業は8時半に始まり、枝を剪定(せんてい)しながら丁寧に進められた。西平区長は作業の様子を見詰め、「いつまでも生きててほしいんだけどね」と寂しげだった。芽が出ている部分がある、根元から2メートルほどを残して保存された。伐採した部分は木材として活用される。

 以前、神木の前には瀬嵩御宮の拝殿があった。1972年に日本に復帰して以降、国道331号が拝殿と瀬嵩御宮の間を横切るように通ったため、拝殿が御宮内に移動した。現在は対の神木だけが立っている。

 瀬嵩御宮が建立された時期は定かではない。西平区長が幼少時の頃は「木々がうっそうとして暗くて、恐れ多かった」という。御宮周辺は、森に覆われて御嶽(うたき)と呼ばれていた。健康や豊作などを願う人々が集まり、西平区長は「かけがえのない場所でもあった」と強調した。

250年にわたって地域を守り続けてきた神木の前で、手を合わせる西平伸区長
枝を切る作業員ら=5月19日、名護市の瀬嵩公民館裏