「武器を持ち込まないで」「小さい島は逃げ場がない」宮古島陸自弾薬の搬入に市民ら猛反発


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弾薬を輸送ヘリから車両へと移し替える自衛隊員=2日午後2時38分、宮古島市上野野原の航空自衛隊宮古島分屯基地

 【宮古島】陸上自衛隊は2日、宮古島市城辺保良の陸自「保良訓練場」に弾薬を搬入した。「武器を持ち込まないで」。空路で弾薬が最初に持ち込まれた空自宮古島分屯基地=市上野野原=と搬入先の陸自保良訓練場の前には市民が次々と駆け付け、座り込んだ。市民らは「絶対に許されない」「今すぐ持って帰れ」と声を上げ、宮古島署員は「道路交通法違反」を名目に数分で排除した。陸自の大型車のエンジン音が、平和な島を望む市民が振り絞った声をかき消した。

 午後2時12分、青く澄んだ市上野野原の空に、九州から弾薬を積んだ陸自の輸送ヘリが姿を現した。ヘリは空自宮古島分屯基地に着陸し、島に弾薬が届いた。午後3時45分には2機目のヘリが着陸した。隊員らはフォークリフトを使い、陸自の運搬車に積み込んだ。

航空自衛隊宮古島分屯基地から弾薬を保良訓練場に運搬する車両前に座り込んで抗議する市民=午後7時30分、宮古島市上野野原

 午後5時ごろから、市民は空自前と保良訓練場前で座り込みを始めた。訓練場前では、保良での座り込みに連日参加する砂川盛栄さん(70)がマイクを握った。怒りで声を震わせながら「住民がどれだけ反対しても武器を持ち込むのか。有事が起こったら小さい島では逃げ場もなく、島を守るためというのは、ごまかしだ。武器がないことこそ島を守ることだ」と拳を振り上げた。

 陸自は複数の大型車に弾薬を積み込み、午後7時半に分屯基地から保良へ向けて出発した。一般住宅や学校前を、普段は見掛けることのない深緑色の大型の車体が連なって走った。約1時間かけて保良訓練場に到着し、午後9時20分、全ての車が訓練場内に入った。

 ミサイル・弾薬庫反対住民の会の下地博盛代表は宮古島署員に腕をつかまれながら声を絞り続け、「住民は平和に暮らしてきた。いきなり武器を持ち込んだ。市民を危険にさらして、誰のための自衛隊か。絶対に許さない」と憤った。