【深掘り】玉城デニー知事を支える「オール沖縄」再編の全貌 大会派構想の失敗、再統合…


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沖縄県議会

 県議会与党新会派「てぃーだ平和ネット」が誕生し、玉城デニー知事を支える与党再編の大枠が定まった。再編主導派が目指したのは、共産以外による与党第一会派結成と、「会派おきなわ」所属2氏の受け皿づくり。その目的がある程度、果たされた格好だ。与野党が拮抗(きっこう)する中、来年秋の知事選までのスムーズな議会運営や選挙態勢構築に向け、さまざまな思惑が交錯した。多少のわだかまりは残るが、“大義”である「オール沖縄」態勢の強化につながるか、今後も注視される。

 再編主導派が当初目指したのは、共産を除く3会派統合など「大会派構想」だ。立憲民主県議による新会派発足が決まる中、一部県議らは、共産が与党第一会派になることを懸念した。「『オール沖縄』イコール『共産』のイメージに結び付きかねない」(主導派県議)からだ。

 また、4月のうるま市長選で「オール沖縄」候補の対抗馬を推薦するなど、微妙な立場を取り続ける会派おきなわの平良昭一、新垣光栄の両氏をしっかり与党に固定したいとの思惑もあった。同会派で県議会議長の赤嶺昇氏が知事批判を重ね、与党との関係が極端に悪化する中、赤嶺氏から平良、新垣の両氏を切り離すことを狙った。

 だが、共産を除く統合による与党内の関係悪化への懸念と、会派おきなわへの積み重なった不信感で、大会派構想は頓挫。最大会派だった沖縄・平和の分裂も招いた。その後、慎重派の中でも共産以外での第一会派結成の機運が持ち上がり、てぃーだ平和ネットの結成につながった。共産は動きを静観した。

 沖縄・平和から離れた次呂久成崇氏らが新会派「南風」を結成。平良、新垣両氏の「受け皿」となるべく、連携の模索は続く。

 再編の動きに、野党などから「ただの内部分裂」と冷ややかな目も注がれる。一方、ある自民関係者は平良、新垣両氏を取り込もうとする動きに「議案によっては2人はこちらと同調することもある。完全に与党になれば、採決での計算に入れられなくなる」と警戒する。
 (大嶺雅俊)