県は緊急事態宣言に伴い、県内の酒類やカラオケ設備を提供する飲食店などに休業を要請している。一方でホテル内のレストランなどは、宿泊客のみに限定すれば休業・時短要請の対象外となる。県内の一部のホテルでは、宿泊者限定で酒類の提供や午後8時以降の営業を続ける施設もある。ホテル関係者からは「県の施策は矛盾している」との声も上がっている。
県はホテル内のレストランに対しても、基本的には飲食店と同様に午後8時までの営業時間と酒類の提供停止を求めている。要請に従うホテル内施設は協力金の対象となる。ただ、利用者を宿泊者のみに限定する場合は「飲食サービスではなく宿泊サービスの一環として認識している」として、休業、時短営業要請の対象にならないとしている。
恩納村のあるリゾートホテルは、館内全ての施設の利用を宿泊者のみに限定している。緊急事態宣言が発令された5月23日以降も館内のレストランなどで酒類提供を続けており、6月1日からは営業時間を午後10時までとしている。
担当者は「宿泊客が夕食を食べる場合、周辺の飲食施設も(午後8時で)閉店するので困る。県にも確認を取った上で対応を決めた」と説明する。
ただ、感染拡大防止の観点から、県の対応を疑問視する意見もある。那覇市内のホテル経営者は「県は来島自粛を要請しているが、かたや宿泊者に関しては通常の飲食サービスができるというのは、施策が矛盾しているのではないか」と疑問を口にした。
県の周知不足を指摘する声もある。県は基準をホームページ内のQ&Aに掲載しているが、各ホテル団体に直接周知はしていないという。
北部のリゾートホテルの代表者は「初めて聞いた。ちゃんと業界に知らせるべきだ。宿泊客のためにレストランも通常営業したいが、緊急事態宣言を出しているため、ホテルもそれに従っている。県の基準が理解できない」と話した。