大型商業施設休業 経済界「やむなし」 県の要請に理解示す 適正補償求める声も


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大型商業施設に休日の休業を要請する方針を説明するために県商工会連合会を訪れる県の嘉数登商工労働部長(右) =3日、那覇市小禄

 玉城デニー知事は3日夜の記者会見で、新型コロナ感染症の拡大防止の観点から、時短営業を要請している大規模の商業施設などに対し、土曜と日曜の休業要請を発表した。経済界からは、感染防止の観点から「やむなし」との意見が多くを占める一方、人流を抑制するために適正な補償を求める声などが上がった。

 5月23日に発令した緊急事態宣言で、県は床面積1千平方メートルを超える商業施設について、営業時間を午前5時~午後8時までに短縮するよう要請した。デパートや大型ショッピングセンター、パチンコ店やボウリング場などが該当し、県によると、県内で543施設あるという。

 大型施設はそれぞれ独自でガイドラインを作成して感染防止対策に取り組み、時短営業を実施している。休業要請に応じた場合、床面積1千平方メートルごとに協力金20万円を支給する。県は24億5千万円を補正予算として県議会に提案することにしている。

 百貨店のデパートリウボウを経営するリウボウインダストリーの糸数剛一社長は「緊急事態宣言が出てからは、土日の方が来店が少ない。感染を防ぐ意味があるのなら、経営が痛んでも協力する」と県の方針に理解を示す。ただ、コロナ禍で来店客が激減しているとして、「人がおらず、全く密でない場所で閉める意味はあるのか」と話し、県からの要請が届き次第、対応について正式に検討することにしている。

 県内各地に大型ショッピングセンターを展開するサンエーやイオン琉球も、いずれも県からの要請を待って、休業の可否など対応について協議する。

 県は3日、各部長が経済団体への訪問や電話連絡で、新たな対策方針を伝えた。県商工会連合会会長で、県ボウリング場協会の会長も兼務する米須義明氏は「本当は閉めたくないが、感染が収まらない状況を見ると仕方がない。補償があるという内容だったので、(県に)受け入れると返事した」と話し、やむを得ないとの見解を示した。

 別の経済団体の関係者は「今の感染状況ではさらに強い措置も仕方ない。ただ、要請するなら、より補償を充実させてくれないと厳しい」と窮状を訴える。「休日という稼ぎ時をただ失うだけだと、協力できない事業者もいるのではないか」と指摘した。