高校生の夢舞台に影 県総体で辞退や棄権、有力校も 「どう声を掛けていいか…」


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県高校総体ボクシング会場でリングを消毒する生徒=5月31日、糸満市の沖縄水産高校(画像を一部加工しています)

 新型コロナウイルス感染拡大の波は高校スポーツの現場にも広がっている。延期のゴルフを除き、1日までに30競技が終了した県高校総合体育大会では、学校でのクラスター発生や濃厚接触者と特定されたため、出場の辞退や棄権などの影響があった。

 主催者の県高校体育連盟は各競技専門部で独自のガイドラインを設け、会場の消毒や入場者全員の検温など対策を徹底した。特に厳重な対応を取ったのが、選手同士が密着するボクシングやレスリングだ。ボクシングは大会関係者専用のハンドソープを手洗い場に設置し、大会運営に関わる生徒らもマスクや手袋、フェースシールドを着用した。

 校内の感染者急増で辞退する学校もあった。ある団体競技で上位常連のチームは、校内でのクラスター発生で一部メンバーの出場が認められず、チームも出場を辞退。監督は「チームから感染者が出たわけではなく、なんとも言いようがない」と落胆した。「順調に仕上がっていたのでショックが大きい。生徒にどう声を掛けていいか分からない。気持ちを落ち着かせる時間が必要だ」と語った。

 全国優勝の経験もある個人競技の選手は、濃厚接触者と診断され大会当日に自宅待機が解けた。春の全国選抜の成績で全国総体の出場枠を獲得したが、県総体で記録が出なければ全国への道が閉ざされる恐れもあった。選手は「全然練習ができず、けがの心配もあった」と不安を口にしていた。