首里城火災は「美ら島財団の責任」 県民9人が住民監査請求


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首里城火災を巡る住民監査請求について説明する徳永信一弁護士(左から3人目)ら=4日、那覇市の県庁記者クラブ

 2019年10月末に発生した首里城火災を巡り、正殿など6棟の全焼を招いたのは、県から指定管理者に選任されていた「沖縄美ら島財団」の責任だとして、県民9人が4日、約1億4700万円の損害賠償を財団に請求することを県側に勧告するよう求め、県監査委員に住民監査請求した。

 請求書では、出火原因は不明なものの、財団が首里城や収蔵文化財を保全するため最善の注意を尽くすべき管理義務を負っていたと主張。

 「財団の管理責任が厳しく問われなければならないが、沖縄県政が前向きな姿勢を示してきたとは言いがたい」としている。

 損害額の内訳は、財団が県に納めるべき固定納付金約2億3千万円のうち、火災後に県が減額した約9700万円と、損傷した建物内の収蔵文化財の被害。文化財の被害額は正確な算定は難しいとしつつ「5千万円を下回ることはない」とした。

 請求人の石岡裕さん(63)=那覇市=は「管理体制の責任を置き去りにして再建を進めていることに憤りがある。監査請求によって問題提起ができたらと思う」と述べた。住民側代理人の徳永信一弁護士は「出火原因がどうであれ、延焼を食い止められなかったのは管理責任違反を免れない」と話した。