識者談話 応援看護師の労働環境問題の解決策は?春田吉備彦沖縄大教授(労働法)


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 看護師・介護士等について市町村をまたいで県内で円滑にやりくりするという労働市場での不具合が生じている。

 現在の介護保険制度は(1)国が制度の運営方針を決め(2)県は国の指針に従い市町村を指導援助し(3)市町村は県の指導援助を受け、被保険者を管理し、給付を行う役割を担う。これによって制度が安定化し、高齢者等の被保険者が問題なく介護保険サービスの恩恵を受けられる重層的な仕組みだ。県からすると、人材のマッチングについて第一義的には国の役割であり、縦割り行政の壁があるのだろう。

 とはいえ、県内のコロナ問題について、「プロ・ボノ・プブリコ(公共善)」という崇高な使命に貢献しようとする、看護師・介護士等のやる気をそぐやり方は問題だ。

 例えば、応募先の「見込まれる労働時間や見込み額」を応募者に伝達できれば、それをベースに応募者が応募先と交渉しやすくなる。介護保険法5条2項は、県が「介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるように、必要な指導及び援助をしなくてはならない」と定めている。

 今後、本島から離島へき地等への人材移動という厳しい局面も想定される。平常時ではなく非常時において、県民の司令塔としての「県」が何をできないかではなく、何をどこまで柔軟にできるかという実行力が問われている。