【深掘り】原因や対応の説明なく…県、きょう呼び出し抗議 津堅不時着ヘリ離陸


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米軍普天間飛行場に帰還した津堅島に不時着していたUH1Yヘリ=7日午後0時5分、宜野湾市

 2日深夜にうるま市津堅島の畑に不時着した米軍普天間飛行場所属のUH1Y多用途ヘリが7日正午ごろ、自力で飛行して普天間飛行場に戻った。米軍は「機械的問題」を要因とするが、原因や対応を説明しないまま、県民の頭上で不時着したヘリを飛行させた。県民の安全を顧みない米軍の姿勢が改めて露呈した。地元・うるま市は事故発生2日後に沖縄防衛局に飛行停止を求め、県も防衛局長らを8日に県庁に呼び出して抗議する方針を決めるなど、行政側の反発も強まっている。

 7日朝、県に入っていたのは沖縄防衛局からの「7日午後にも離陸」という情報だった。だが午前11時すぎ、津堅島の現場で佐藤卓也内閣官房沖縄危機管理官がヘリは「45分以内に飛び立つ」と発表。関係者によると、準備を進めていたところ予定が早まったという。実際に離陸したのは午前11時50分ごろ、普天間飛行場にヘリが着いたのは正午すぎだった。離陸前に米軍の正式発表はなかった。

 ■安堵と懸念

 地元のうるま市の中村正人市長は4日、沖縄防衛局を訪れ抗議した。修理のために同型機が島に飛来することにも懸念を示した。7日の事故機離陸を受け、中村市長は安堵(あんど)を示す一方で「(撤去まで)時間がかかった。二度とこのようなことが起きないように対応してほしい」と要望した。

 ■現場に派遣

 玉城デニー知事は不時着の翌3日、庁内で情報収集を指示し、現場に金城賢知事公室長を派遣した。抗議の日程は調整が続いた。玉城知事は3日、「米軍基地と隣り合わせの生活を余儀なくされる県民に不安を与え、大変遺憾だ」と強く非難した。

 県の抗議は日程調整に時間を要して事故から6日後となったが、副知事が防衛局長と外務省沖縄担当大使を呼び出すという方式は、抗議の度合いとしては強い部類に入る。県幹部は「県としては今回の不時着を受けてできる限り情報収集していた。こうした事案が繰り返されることを懸念しており(日本政府にも)伝えることになる」と説明した。 (塚崎昇平、新垣若菜)