「誰もが調査対象になる」 土地規制法案で地方議員らが懸念すること


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土地規制法案の問題点を指摘する馬奈木厳太郎弁護士(左)と岡本ゆうこ松戸市議=7日、国会内

 【東京】土地利用規制法案を廃案にすることを目指す地方議員らによる集会が7日、国会内で行われた。弁護士の馬奈木厳太郎(まなぎいずたろう)氏は、土地の利用状況を把握するために行われる報告、または資料の提出を政府が求めることができる対象について、条文上の制限がない点を問題視。「関係者と判断されれば、誰もが調査対象になってしまう」と懸念を訴えた。

 法案は土地の利用状況調査のため必要と判断されれば「土地等の利用者、その他の関係者」に対し、国が資料の提出を求めることができると規定する。馬奈木氏は「その他の関係者」に制限が設けられていないことを指摘した。

 安全保障上重要な施設の周囲約1キロ以内の土地の利用状況が調査対象となるが「人間関係の規定には縛りが設けられていない」として、調査対象が広がる可能性を挙げた。

 また「機能阻害行為」の具体例が法文上示されていないことを改めて問題視。県警が威力業務妨害の疑いでチョウ類研究者の宮城秋乃さんの自宅を家宅捜索した例に触れ、「この法案が通れば威力業務妨害よりも(捜査を)かなりやりやすくなるはずだ」と述べ、警戒感を示した。

 同日の集会は法案の廃案を求める緊急声明も発表した。県内22人を含む全国の地方議員ら134人が賛同した。近く参院議長らに送る予定だ。

 オンラインで参加した花谷史郎石垣市議は、住民投票が行われないまま石垣市で陸上自衛隊の配備計画が進んでいることに触れ「法案が通れば住民の不利益になる」と述べた。仲村未央県議は「県民全体、誰もが調査対象になってもおかしくない」と指摘した。