「職場ワクチン接種」沖縄の企業でも検討…打ち手や会場確保が課題


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 新型コロナウイルスのワクチン接種を巡り、企業や大学単位で接種を受けられる「職場接種」の受け付けが8日始まった。県内大手企業の中には従業員とその家族の早期接種に向けて検討する企業があるものの、ワクチンを打つ医師、看護師や場所の確保が多くの企業のネックとなっている。職場接種には医療従事者を自前で確保しなければならず、多くの従業員の接種を円滑に進められるかは不透明だ。

 厚生労働省によると、申請が完了した後にモデルナ社製のワクチンを企業や団体に送付し、21日以降に職場接種が開始される。1回の接種当たり2070円を国が負担するが、人員や場所の確保などに関する費用は企業側の負担となる。

 琉球銀行(那覇市)は「実施の方向で検討している」と回答した。グループ企業も含めて対象とする方針。会場は那覇市壺川のりゅうぎん健保会館を予定している。接種する医療従事者を、1日当たり4~5人程度確保することを目指しているという。沖縄銀行(那覇市)も実施に前向きな姿勢だが、産業医や保健師、担当部署との協議を踏まえて可否を見極める。

 沖縄セルラー電話(那覇市)は、職場接種を申請する方向で、接種を希望するかなどを社内でアンケートしている。会場は那覇市松山の本社ビルを想定する。

 ビル内の関連企業も含めて社員やその家族を対象とする予定だが、医師などの確保がネックとなっている。担当者は「医師会などとも話しているが、大規模接種が始まることもあって(医師確保が)なかなか難しい。なるべく早く実施したい」と話した。

 沖縄電力(浦添市)は、自前で接種する会場や医療従事者を確保することが難しいことから、外部の医療機関に出向いて接種する方法について検討しているという。担当者は「自治体の接種体制を圧迫しないことを前提に医療従事者を確保することが難しいので、別の方法を検討している」と話した。

 小売大手のサンエー(宜野湾市)の担当者は「現在条件を確認して情報を収集している段階で、やるかどうかも含めて検討している」と話した。イオン琉球(南風原町)の担当者は「グループとして積極的に検討している」とするも、「打ち手や場所の確保が今後の課題」だと述べた。

 県内タクシー会社で構成する県ハイヤー・タクシー協会の東江一成会長は「協会として申し込む予定だ。一般接種を待っていては遅くなってしまう」と話した。コストを試算中で、会員企業に対して運転手の接種状況などを確認している。