沖縄らしい脱炭素施策を要望 振興計画素案を審議会に諮問


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新たな沖縄振興計画の素案を県振興審議会の西田睦会長(左)に諮問する玉城デニー知事=9日、那覇市の沖縄ハーバービューホテル

 県振興審議会(会長・西田睦琉球大学長)が9日、那覇市の沖縄ハーバービューホテルで開かれた。玉城デニー知事が2022年度以降の新たな沖縄振興計画の素案を諮問した。委員からは素案の施策展開の枠組みに「環境」の概念が新たに追加されたことを受け、沖縄らしい温室効果ガスの削減へ向けた施策展開を求める声があった。さらに、県が新たに海洋政策の推進を打ち出したことを受け、観光と環境、海洋の頭文字を取った新たな「3K」で発展を目指すべきだとの指摘もあった。

 会合には学識経験者や関係団体から選ばれた人ら40人の委員がビデオ会議システムなども通じて出席した。冒頭、玉城知事は「『社会』『経済』『環境』の側面が調和した持続可能な沖縄の発展と、誰一人取り残さない社会を目指す」と方向性を示した。総合部会長の大城郁寛琉球大名誉教授は「国が掲げる二酸化炭素(CO2)の削減は経済活動と市民生活に制約をかけることになる。県は、沖縄らしい施策展開の知恵を絞る必要がある」と話した。

 企業経営の鶴田昌司委員は観光、海洋、環境を連携させた新「3K」を提唱した。その上で「稼ぐ力を担っていくのは沖縄の若者たちだ。適切な教育を推進する意味で、教育を四つ目のKに加えてほしい」と強調した。

 そのほか、産業振興部会長の金城克也県経営者協会会長は「日本への復帰から50年がたとうとしている。復帰特別措置法で講じられている激変緩和措置は、沖縄振興特別措置法で位置付けてほしい」とし、県中小企業団体中央会専務理事の上里芳弘委員は「素案では企業の廃業、雇用損失への危機感が感じられない」などと意見があった。

 同審議会は九つの部会で審議し、12月に知事に答申する。