沖縄県の「貯金」97%減 コロナ影響で229億円→5.6億円


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 相次ぐ新型コロナウイルス対策によって、県の貯金に当たる「財政調整基金」の残高が激減し、2021年度末は感染症の影響がなかった19年度末比で、約223億4千万円(97・6%)減の約5億6千万円になると見込まれていることが10日、県財政課への取材で分かった。年度末の残高が10億円を下回るのは1975年以来で、46年ぶりとなる。わずか1年数カ月で200億円以上を取り崩すことになり、機動的な財政需要への対応に懸念も上がっている。

 46年ぶり10億切る

 県財政課によると、県の財政調整基金は19年度末で約229億円あったが、感染拡大が始まった20年度末は133億円に減り、21年度末では1桁億円台まで一気に落ち込むと見込まれている。ただ、県は今後、20年度決算の繰越額を財政調整基金に充当する方針で、最終的な基金の残高は変動する可能性もある。

 県は20年度4月から県独自も含めてこれまで4度の緊急事態宣言を出してきた。その都度、飲食店などに時短営業を要請し、協力金を支給してきた。協力金などのコロナ対策費の大半は国から補助されるが、裏負担が積み重なり、県財政を急速に悪化させている。

 県は20~21年度6月にかけてこれまで協力金予算として計841億5370万円の予算を計上。大半は国からの補助で賄えるが、県支出の裏負担は同基金から約42億円を取り崩した。

 県は15日に開会する県議会6月定例会に、新型コロナ対策費299億2263万円を含めた21年度一般会計予算の第9次補正予算案を上程する。残高21億791万円を見込んでいた財政調整基金から15億4507万円を取り崩して原資とした。残高は5億6283万円になる見込み。

 財政課の武田真課長は「住民サービスを低下させないよう、やりくりしていく。感染拡大が長引けば長引くほど財政に余裕がなくなっていく」と話した。全国の都道府県でも財政調整基金が減っている。東京都は19年度末に9千億円以上あったが、21年度末の見込み残高は5月末時点で約21億円となった。
 (梅田正覚)