米軍ヘリ不時着、抗議決議へ 15日に本会議に提案 沖縄県議会軍特委


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県当局に質問する県議会米軍基地関係特別委員会の委員ら=10日、那覇市の県議会

 県議会米軍基地関係特別委員会(照屋守之委員長)は10日、米軍普天間飛行場所属のUH1Y多用途ヘリがうるま市津堅島に不時着した事故に対して抗議決議案と、意見書案を本会議に提案する方針を決めた。ただ、同日中に文案について与野党間で合意に至らず、県議会6月定例会が開会する15日の提案も視野に、与野党間で調整を続ける。

 10日の委員会で、文案について委員らが協議したものの、「普天間飛行場の閉鎖・撤去」を求めるかなどについて与野党の一致がみられなかった。照屋氏は記者団の取材に「こうした(米軍機の)トラブルは全会一致でやるべきだ。一つにまとめていく努力が必要だ」と強調した。

 10日の軍特委では来年の沖縄の日本復帰50周年に向けて、県の米軍専用施設の割合を50%以下にするよう求める要請についても審議した。金城賢知事公室長は、仲里全孝氏(沖縄・自民)への答弁で実現のために「約1万ヘクタールの返還が必要となる」と説明した。

 在日米軍専用施設面積を50%以下にすることなどを求める要請書は、玉城デニー知事が5月に加藤勝信官房長官らに提出した。

 県内の米軍専用施設は1万8500ヘクタール。県内の割合を50%以下にするためには、県外での米軍施設面積縮小がない場合、県内の辺軍施設面積を7800ヘクタール以下にする必要がある。2013年に日米が合意した統合計画で示された嘉手納基地より南の施設返還が実現した場合も、県内の米軍専用施設面積は約1万7600ヘクタールとなる。県の要請を実現するためには、さらに約1万ヘクタールの返還が必要になる。

 委員会で野党からは「(要請の策定過程で)県民の意見がない。誰がどのように提案したのか」と県側に過程を問う質問があったほか、「50%以下のハードルは高い。基地従業員や軍用地主をどうするのか」と実現性を疑問視する声も上がった。一方、与党からは「海兵隊の段階的な整理縮小を含めて新たなロードマップ策定を日米に求めており、意義がある」との意見があった。