沖縄 待機児童58%減 保育士確保へ職場改善 人手不足 なお課題


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(上)みつわ保育園の職員が実施した業務効率化などのアンケート(下)保育士が園児から離れて休憩できるように整備されたスペース=浦添市のうららにじ園

 待機児童数が6年連続で減少し、減り幅が過去最大になるなど、県内の保育を取り巻く環境は改善に向かっている。一方で、長年の課題となっている保育士不足は、解決に時間を要している。そんな中、職場環境を改善して保育士の離職を抑え、運営の安定化に取り組む保育施設が増え始めている。

 南風原町のみつわ保育園(大城昌信園長)は2009年ごろから、人事・労務管理コンサルタントの助言を受け、職員研修や自己評価など人事考課制度を導入した。さらに、職員が独自でアンケート調査を実施して保育の課題を抽出するとともに、職場内の人間関係を発展させるための催しなども開いている。

 産休や看護・介護休暇を取得しても運用できる人材配置を継続した結果、就職説明会に案内を出さなくても、人材を確保できているという。

 大城園長は「園の風土や理念を基に、園児だけでなく保育士も成長する場を整え、幸せを感じる場にしたい」と語る。

 浦添市のうららにじ園(安里淳園長)では、保育士用の休憩室を整備したほか、ICT(情報通信技術)を活用し、業務の持ち帰りをなくしている。Wi―Fi(ワイファイ)を整備したことで、業務の合間にどこでも日誌を作成できるという。保育士らも「最初は負担に感じたが、慣れると効率的。書類作業もだいぶ減った」と説明する。

 写真付きの日誌は、3~5歳児の保護者へスマートフォンアプリを活用して発信するほか、そのまま行政への報告書にすることもできるという。

 同園でも保育士は充足している。安里園長は「大々的に宣伝しなくても、地道に環境整備すれば評価は口コミで広がっていく」と語った。