新型コロナ感染症拡大の影響で経済環境が停滞する中、県内各地の商工会が活発に地域の事業者支援に取り組んでいる。県商工会連合によると、コロナに関する補助メニューが多岐にわたることや申請する際の書類作成の煩雑さなどから、2020年度の各地の窓口相談が殺到。きめ細かい対応に力を注ぎ、小規模事業者向けの「持続化補助金」は、県全体で前年度の約5倍となる全国最多1865件の申請に携わった。困った時の「伴走役」として、収束が見通せないコロナ下で存在感を高めている。
県内では、2020年2月に新型コロナ感染が初確認された。各地の商工会に事業者からの相談が寄せられるようになり、3月は前年同月比3倍の2168件、4月は同4倍の3281件に上った。
連合会によると、国や県によるさまざまな施策が打ち出された一方で、事業者らはどういった補助メニューが活用できるか分からずに混乱するケースもあり、相談件数増加の一因につながったとみている。
各商工会の経営指導員は非会員の事業者も含め、持続化補助金や雇用調整助成金、持続化給付金などの相談、申請業務に当たった。
中小企業診断士の支援も得ながら業務の迅速化に努め、20年度の持続化補助金の申請は、経営指導員1人当たり約30件携わったことになる。持続化給付金は原則インターネットでの申請だったため、ネットに不慣れな事業者には、メールアドレスの取得から手伝うこともあったという。
県内の商工会に加入する事業者は全国に比べて多い傾向にあるが、さらに20年度は前年比843件増の21565会員となった。加入する事業者の割合を示す組織率は同2・4ポイント上昇して63・3%となり、コロナ下において一層存在感が高まった格好だ。商工会連合会の津波古透支援課長は「離島や過疎地域などは、情報にアクセスする機会が限られている。過疎だから資金繰りが難しいということはあってはならず、そうさせないために商工会がある」と意義を強調する。
米須義明会長は「商工会は中小企業の最後のとりでだ。コロナ禍はまだまだ続くと思われ、われわれの果たす役割がますます重要になる」と話し、地域経済の安定化へ気を引き締めた。
(小波津智也)