重量挙げ五輪代表選出 糸数、宮本 大舞台へ 家族ら喜び、メダル期待


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重量挙げ全日本選手権男子67キロ級 ジャーク165キロに成功する糸数陽一=2020年12月11日、新潟県

 重量挙げ男子61キロ級の糸数陽一と73キロ級の宮本昌典が東京五輪の代表に選出されたとの吉報に家族や関係者らは12日、喜びの声を上げた。自国開催の特別な舞台。選ばれた両選手にメダル獲得や日本記録の更新に期待を寄せた。

 「メダルの期待はあるけど、けがなく頑張ってほしい」とエールを送ったのは、糸数の母・幸子さん(55)。5年前のリオ五輪は渡航の負担が大きく現地へ行けなかった。今回も楽しみにしていた会場応援は難しい情勢だが、「本番が近づけばワクワク感も増えてくると思う」と胸を膨らませた。

 豊見城高時代に糸数を指導した、大湾朝民氏(74)は「自国開催の五輪で県内から2人も選ばれた。これ以上うれしいことはない。感激」と興奮が冷めやらない。沖縄を離れた今も連絡を取り合い、「けがにだけは気をつけてと言っている。コロナ禍で大変な状況の中、まずは選ばれることが最優先だ。陽一なら(メダル獲得も)やってくれる」と活躍に太鼓判を押した。

重量挙げアジア選手権男子73キロ級 スナッチを成功させる宮本昌典=2021年4月20日、ウズベキスタン(提供)

 レスリングの名指導者で知られる宮本の父・裕二さん(61)は「延期もあってヤキモキしてたけど(代表入りの)期待はしていた」と冷静に語った。宮本が出場する73キロ級は世界記録保持者の中国選手を除いてそれ以外の選手は団子状態だ。「コンディションを整え、自己新が出れば表彰台に上る可能性もある」と力強く語った。

 幼少期から宮本を指導し、自身も2000年シドニー五輪女子53キロ級に出場した嘉手納高の平良真理教諭(45)は「海外大会など彼のこれまでの実績が(代表選考に)評価された。大きなけがもなく無事に選ばれ、素直に喜びたい」と安堵(あんど)する。

 4月のアジア選手権は日本代表女子のコーチとして帯同したが、宮本のセコンドにも入りそばで見守った。選手にとっては、コロナ禍で練習環境やモチベーション維持など難しい環境が続くが「(本番まで)時間がない。モチベーションを高め、今後どういった形で調整、支援できるかを一緒に考えていく」。自身が達成できなかったメダル獲得の夢を、東京大会でかなえてくれることを期待している。


<プロフィル>

 いとかず・よういち リオデジャネイロ五輪は62キロ級でジャークとトータルの日本新記録をマークして4位に入賞。17年世界選手権は日本男子36年ぶりのメダルとなる銀メダルを獲得。豊見城高―日大出。警視庁。160センチ。30歳。南城市の久高島出身。

 みやもと・まさのり 64年東京、68年メキシコ両五輪で金メダルの三宅義信氏を師とする。17年世界ジュニアは69キロ級で銀メダルを獲得。20年全日本選手権は73キロ級でスナッチとトータルで日本新を樹立し優勝。沖縄工高、東京国際大出、同大職。161センチ。24歳。那覇市出身。