「島守忌」俳句大会 最高賞にいぶすきさん、小松原さん 沖縄戦当時の知事らしのぶ


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受賞作を発表する「島守忌」俳句大会の関係者ら=13日午後、那覇市松尾の城岳同窓会館

 沖縄戦当時の沖縄県知事・島田叡氏の功績を継承し平和を誓う島田叡氏事跡顕彰期成会は13日、第5回「島守忌」俳句大会の受賞作を発表した。今回が最後となる大会には一般と高校の部に計386人から596句が寄せられた。選句の結果、一般の部では宜野湾市のいぶすき幸さん(90)が、高校の部では兵庫県立兵庫高校2年の小松原深月さんがそれぞれ最高賞となる沖縄県知事賞に輝いた。

 いぶすきさんの句は「島守忌の風しろがねの韻(ひび)きあり」。亡き夫が生前、兵庫県の神戸二中(現在の県立兵庫高校)の先輩に当たる島田氏のことを誇らしげに語っていた様子を句に表現したという。小松原さんは「ほほつたう涙で学ぶ島守忌」と詠み、沖縄戦で多くの人が流した涙を忘れてはいけないとの決意を込めた。

 俳句大会は沖縄戦当時の島田知事や荒井退造警察部長(栃木県出身)、旧県庁殉職職員らをしのび、2017年に始まった。島田氏と荒井氏が糸満市摩文仁で消息を絶ったとされる6月下旬を「島守忌」とする季語を提唱し作品を募ってきたが、5回の開催で一定の浸透が図れたと判断し、今回で区切りをつけることになった。

 島田叡事跡顕彰期成会の嘉数昇明会長は「『島守忌』が季語として定着しつつあり、取り組んできてよかった。17文字に多くの人の共感が込められていると思う」と語った。

 ほかの受賞者は以下の通り。
【一般の部】
▽糸満市長賞「相照らす摩文仁の星や島守忌」伊是名白蜂(宜野湾市)
▽琉球新報社賞「島守忌戦史に残る人の道」本村隆信(八重瀬町)
▽沖縄タイムス社賞「島田忌の御霊に須磨の青葉苗」高田郁子(兵庫県)
▽島田叡氏事跡顕彰期成会々長賞「死者眠る土は語り部島守忌」村田典枝(那覇市)

【高校の部】
▽糸満市長賞「海風が帽子をさらう島守忌」久山はるか(那覇高1年)
▽沖縄県高等学校文化連盟会長賞「島守忌太平築く糧となり」新垣柚(那覇高1年)
▽沖縄タイムス社賞「島田忌や快音響き生還す」田中花奈(兵庫高2年)
▽琉球新報社賞「過去と今縫い目がつなぐ島守忌」新垣蓮(那覇国際高1年)
▽島田叡氏事跡顕彰期成会々長賞「雨露に光りし月桃島守忌」座安健太朗」(那覇高1年)