沖縄県保証協、赤字6億円 コロナ禍で準備金取り崩し 20年度


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 沖縄県信用保証協会(町田優会長)は14日、2020年度決算を発表した。新型コロナ感染症の拡大で、商法上の「貸倒引当金」に当たる「責任準備金」の繰り入れを積み増し、収支差額が6億4600万円の欠損(赤字)となった。差額の欠損は08年度以来、12年ぶり。経営安定化のために積み立てられている「収支差額変動準備金」を同額取り崩し、純損益に当たる当期収支差額はゼロだった。

 企業が返済できなくなった借入金を肩代わりする「代位弁済」は前年度比5.3%増の24億8300万円となり、2年連続で前年度を上回っている。

 中小企業向け実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の支援策を受けるには、信用保証協会の保証付けが必要となる。新型コロナの影響で事業者の資金繰りが悪化する中でゼロゼロ融資の保証申し込みが急増し、経常収入の保証料収入は前年度比58.4%増の21億7100万円を計上した。

 20年度中の保証承諾は2481億9900万円、年度末の保証債務残高も2865億4400万円と過去最高を更新した。

 経常支出では、日本政策金融公庫に支払う信用保険料が12億100万円と前年度比で54.5%上回った。保証債務残高の増大に応じ、経常外支出の責任準備金も同2.3倍増の17億2700万円を繰り入れ、収支差額に欠損が出ることになった。

 代位弁済は前年度比で増額したものの、件数は165件と前年度を32.7%下回った。同協会は国や県によるコロナ関連の支援策や金融機関による条件変更などによって、比較的抑えられたと見ている。製造、飲食、卸売業を除く業種で増え、小売業が同2.3倍の4億4700万円、建設業が同39.1%増の6億4000万円、サービス業が同20.3%増の7億800万円を計上している。

 県信用保証協会の担当者は「収支差額の欠損は、コロナ禍に伴う全国的な傾向でやむを得ない」と指摘。「ワクチン接種などで経済活動が再開し、個人消費のマインドが高まったとしても、景気の好転には時間がかかる」と述べ、引き続き、経済動向を注視する必要性を強調した。