沖縄市が嘉手納基地の軍民共用調査 経済効果検証へ


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    米軍嘉手納基地

 【沖縄】沖縄市は2021年度から25年度までの施策方針を示した第5次総合計画前期基本計画で、米軍嘉手納基地の軍民共用について「調査研究や国への要請活動に取り組む」と盛り込んだ。市によると、嘉手納基地の軍民共用を市が体系的に調査するのは初めて。計画期間内に法制度や経済効果、騒音への影響などに関する調査結果を取りまとめたいとしている。

 軍民共用を目指す理由について、計画は「中部圏域の発展や市の活性化」を理由に挙げた。一方、嘉手納基地を巡っては既に騒音問題を抱えており、市は調査で軍民共用のデメリット面も検証するとしている。

 市の計画は「観光誘客拠点や物流拠点としての空港・港湾機能は重要」とした上で「2本の滑走路を持つ嘉手納飛行場について利活用に関する調査研究や国への要望を行う」とした。第4次市総合計画の「米軍基地等については返還を促進するとともに、基地内施設の共用に向けた取り組みを進める」という表現から踏み込んだ。

 嘉手納の軍民共用化は桑江朝千夫市長の選挙公約。桑江市長は琉球新報の取材に「嘉手納基地は大きな重荷だが、資源として有効活用できるなら中部の経済発展に使いたい」と説明した。既に軍民共用化されている青森県の米軍三沢基地などを視察したい考えも示し、「嘉手納基地周辺は騒音に悩まされているのでナーバスになるが、民間機の騒音は戦闘機とは違う。那覇空港もある中、便数も多くはならないだろう」と話した。

 桑江市長は国や米軍への要請は沖縄市、嘉手納町、北谷町でつくる「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)」など、周辺自治体の合意が前提という認識を示した。「三連協との合意はまだないし、プロセスとしてやっていかないといけない。慎重にタイミングを見てからの提案になる」とした。米軍の同意を含めて「ハードルは高い」との認識を示した。 (島袋良太)