シングルマザー、目指すは東京並み所得 ウェブ制作研修と仕事を支援 「MOM For STAR」


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パソコン操作やウェブデザインを基礎から学び、ウェブ運用業務を目指すMOM For STARの参加者たち=豊見城市

 低所得に悩むシングルマザーが県内にいながら、全国的に人手不足が著しいウェブデザインを学び、東京並みの所得を目指して仕事に取り組み、仲間と一緒に生活上の悩みも解決していく。そんな「一石三鳥」なプロジェクトが進んでいる。

 プロジェクト「MOM For STAR」は、レキサス(うるま市、比屋根隆社長)、フォーデジット(東京、田口亮社長)のデジタルデザイン2社と、しんぐるまざあずふぉーらむ沖縄(秋吉晴子代表)が4月に始めた。オリオンビール奨学財団(豊見城市)が実施するシングルマザー対象の助成を受けて、レキサスが県内のシングルマザーを雇用し、フォーデジットが研修し、仕事を依頼する。仕事や生活の悩みはふぉーらむが受け皿になる。対象者を増やしながら3年継続する予定だ。

 主な仕事内容は、企業が商品の入れ替えやキャンペーンを知らせるホームページの更新。需要は増えるが、担える人手が足りない状態だという。簡単な作業から徐々に複雑な工程を担えるよう研修する。「本人の技術とやる気次第で、データ解析などより付加価値の高い領域まで育てたい」と比屋根さんは先を見る。

 田口さんは「人件費などのメリットで、首都圏が地方を選ぶのではなく、互いに連携してデザイン力やノウハウなど首都圏の資源を使う。地方が課題解決することで日本経済全体が成長できる」。東京から派遣するスタッフにも刺激になると期待する。

 参加する5人のシングルマザーたちは「今までの職場は目の前の仕事をこなすだけでスキルアップできる仕組みがなかった」と成長の機会を喜ぶ。「同じ境遇の仲間がいるのは心強い。子どもや家のことをサポートしてくれる安心感も大きい」という声も多い。

 秋吉さんは「『沖縄だから安い』ではなく、東京と変わらない質の仕事をして所得も得られるという社会へのメッセージにもなる。子どもたちもそんなお母さんたちに憧れるだろう」と事業成功へ意気込んだ。