浦添ハワイ視察72万円、本当に「問題ない」? 口頭で随意契約、条例超す宿泊費…


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JTB総合研究所が土地開発公社に提出した見積もりの詳細資料

 【浦添】浦添西海岸開発を巡る浦添市土地開発公社の公金支出の正当性が揺らいでいる。高額な海外出張や、口頭のやりとりで決めた2200万円の随意契約。いずれも公社側は違法性はないとの主張を繰り返すが、議会や外部の監視機能が働きにくい組織の性質に加えて、主張の根拠となる文書が存在しないことから、市議会や識者から疑問の声が上がった。松本哲治市長は今後、本格的な調査に乗り出す考えだが、透明性のある検証ができるか未知数だ。

 6月8日付の本紙報道をきっかけに、市議会6月定例会で追及された。2020年2月、公社の理事長を兼務する大城千栄美副市長ら市職員3人が公社の業務としてハワイを視察した。1泊約3万5千円の高級ホテルに宿泊するなどして、3泊5日の旅費は総額約216万円、1人当たり約72万円を支出した。

 浦添市職員の旅費に関する市条例では、ハワイ出張の場合、副市長の宿泊費の上限は2万1500円、部課長級は1万8800円となっている。一方、土地開発公社の就業規定では、旅費について「条例を準用する」と明記されている。

 しかし、大城副市長は市議会で「条例に反する内容ではないと考えている」などと主張し、視察は問題なしとの見方を示した。

 副市長ら執行部の答弁に、野党や与党の一部が反発。16日の市議会西部開発・米軍基地関係特別委員会の休憩中には、与党議員が執行部に詰め寄る場面もあった。

 県外のシンクタンクとの随意契約の手続きで、公社側は複数の事業者に対して仕様書や業務内容について書面を用いず、口頭で説明した。最終的にJTB総合研究所しか業務を遂行できないとして、地方自治法施行令第167条の2第1項第2号に基づき随意契約に踏み切った。

 一方、浦添市契約規則は随意契約について、「契約条件その他見積りに必要な事項を示して、なるべく2人以上の者から見積書を徴しなければならない」と定めている。

 市議会で一般質問した又吉健太郎市議に対して、市が開示したJTB総研提出の見積書総額は税込み2200万円。このうち、明細によると、主席研究員の人件費の単価として1日当たり7万5千円に設定するなど、人件費の総額は597万円に上る。出張費や資料作成などの直接費として752万円を見積もった。又吉市議は今回の随意契約の金額が見積書と同じ2200万円だった点に着目し、「公社は契約相手の言い値で契約していないか」と疑問を示した。

 地方自治法に詳しい仲地博前沖縄大学長は随意契約について「結局、文書がなければどのような経緯で随意契約に至ったか点検できない。ましてや外から見えにくい随意契約では、なおさら文書でやりとりすべきだった。土地開発公社は行政として当たり前のことができていなかった」と指摘した。
 (吉田健一)