【東京】沖縄戦当時の日本軍第32軍の牛島満司令官と長勇参謀長を弔う、糸満市摩文仁の「黎明(れいめい)之塔」での陸上自衛隊第15旅団隊員による「参拝」を巡り、防衛省が昨年8月に地元住民への配慮を求めていたことが23日、分かった。陸自隊員による「参拝」は2019、20年ともに30人規模で行われていたが、今年は大幅に人数が縮小され、佐藤真旅団長ら数人の参加にとどまった。
防衛省は本紙取材に第15旅団の黎明之塔への訪問を「慰霊行為」と説明し、陸上幕僚監部を通じて20年8月、「地域の住民感情に十分配慮し、今後はより熟慮の上対応するように」と口頭による注意喚起をしたという。
一方、「隊員が勤務時間外に行う私的な活動」と位置付けており、今年の規模縮小が防衛省からの指示ではないと答えた。
その上で「私的活動ではあるが、まさしく沖縄の歴史的経緯、地域事情を踏まえて注意喚起したということだ」と強調し、塔訪問そのものは問題視していない。
制服着用については、自衛隊法58条の服装規定に基づくものであり「原則、普段制服を着用しなければならないというのが規則だ」とし、これも問題視しない構えだ。
黎明之塔への「参拝」は2004年から実施。19、20年は旅団長ら制服姿の隊員約30人が参加した。
沖縄戦を泥沼化させた批判もある牛島司令官らをまつる慰霊碑のため、「日本軍の蛮行を顕彰し、殉国美化につながる」として市民団体から中止の要請も受けてきたが、第15旅団側はこれまで「私的な行動」との見解を貫いていた。