コロナ禍で製造が伸び悩むかりゆしウエア。生活様式の変化も見られることから、メーカー側もインターネットを使ったオンラインショッピングの強化など戦略の再考を迫られている。そうした中、かりゆしウエアのコンセプトを見つめ直し、新たな魅力の掘り起こしや価値の創造に取り組む企業も現れている。
かりゆしウエア製造を牽引(けんいん)してきた日進商会(糸満市)は、「MAJUN(マジュン)」ブランドの再構築に取り組んでいる。
定番デザインで多くの用途に応じた着回しができる「エターナル」、結婚式など華やかな場を想定した「グレイシス」、私用でも使えるカジュアルな「ヴァリアス」という、シーン別に三つのレーベルを新たに立ち上げ、今年1月から販売を始めている。
同社カジュアル営業部の中野勝部長は「コロナ禍をきっかけに、レーベルの世界観をより掘り下げた。『どこでも着られるかりゆしウエアを世界に発信したい』という思いを表している」と説明する。
綿100%ながら形状安定加工の技術を取り入れた商品や、女性物ではブラウスや運動用キャミソールなども幅広く展開するなど、好評を得ているという。
中野部長は「オンラインストアは多言語化サービスも始めた。あらゆる工夫で多くの人がかりゆしに注目するようになり、沖縄を元気にする力になりたい」と話し、コロナの収束後を見据えている。
沖縄の基幹作物であるサトウキビの搾りかす「バガス」を有効活用したアパレルを展開する「SHIMA DENIM WORKS」(シマ・デニム・ワークス、浦添市)は、今年から本格的にかりゆしウエアの販売を始めた。バガスを原料にした生地は吸湿性や消臭効果があり、高温多湿な沖縄の夏にぴったりだという。
価格は1着1万5千円から。着られなくなった商品は買い取り、修復して再販売することも計画している。廃棄物を付加価値の高い製品に変える「アップサイクル」という取り組みで、店舗を運営するリノベーション(東京)は「ファッションを楽しみながら、気軽にエコを感じてほしい」と提案する。
4月から、ホテルと提携したシェアリングサービスにも、かりゆしウエアを提供している。出張や観光での沖縄滞在用に貸し出す。滞在時しか着ない商品を共有し、廃棄をなくそうという試みだ。
シマ・デニム・ワークスの富井岳マネジャーは「県産素材で沖縄らしいファッションを楽しめ、サトウキビ産業にも貢献できる。今後はサブスクリプション(定額制)なども検討したい」と展望を描いている。 (小波津智也)